《喪服で女装する時》

 昔、お世話になった、仕事上の上司のお通夜がありました。フォーマルな装いも必要かなと、黒のワンピースを買ってすぐのことです。

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 黒いワンピースタイプの喪服で、小柄な私は女装のまま受付を通りました。名前を記帳、男名前で香典を渡すときに、 「主人がお世話になりました」 そう言って、差し出すと、普通に受け取ってもらえたのです。

「もう、お別れね、本当に逝っちゃったのね」
「いつも、自分だけ先に逝っちゃうんだから」
「おせわになりました、安らかにお眠りください」

 祭壇の前で、小柄な私は手を合わせて祈りました。


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 通夜のお経が始まりました。喪主である奥さま、ご親族に挨拶し、棺の前でお焼香をあげました。

親族席に座っていたので、会社関係者よりも先に焼香をすませて、親族席に戻りました。 お経が終わり、通夜が終了したことが告げられると、すぐに会社関係者は帰っていきました。

 通夜の式場に、人が少なくなるのを待っていると、わずかに残っていた親族と奥さまが居ました。 明日の告別式まで、故人の棺のそばにいる奥さまに近寄り、挨拶をしました。

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「お忙しい中、ご会葬ありがとうございました」
「同じ支店で、ご主人にはお世話になりました」

「生前は、主人もお世話になりました。」

 心の中で、奥様に話しかけていました。
奥様、あなたのご主人には、生前本当にお世話になったのよ。

女装した私の身体を抱いて、何度も愛してもらったわ。


 奥様が、『フェラもバイブも嫌がるんだ』と不満そうだった彼 。
私で満足されていたのよ、私も幸せいっぱいだったわ。 心の中でつぶやきました。

 最後に彼のお顔を見たいと言って、お別れの挨拶をするとき、レースのハンカチに包んだ、蝶の羽のように透けるバタフライ(ショーツ)。
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 恥ずかしがる私に、身につけさせていた、 彼のお気に入りだったものを、棺にそっと忍ばせた。

「安らかに、お眠りください、あなたの好物といっしょに」

《追想、気づかれてしまった女装》

 20代の頃、私は東京のある銀行に勤めていたのです。
しかし、私はある事で、一度東京を離れ、しばらくは大阪で暮らしていました。 大阪にいる間に資格をとり、システム開発の仕事で、ふたたび東京に戻りました。

 再就職先は、製造業の工場勤務で定時で終わるのと、休みも取りやすかったのです。 女装を楽しんだり、女装外出もできたのです。

 銀行に勤めていた時の同期とは、大阪に行っても、メールやLINEのやり取りをしていました。 そして、彼が亡くなったという訃報がLINEで知らされたのです。

 東京に戻っていた私のマンションから、京浜東北線で30分かからない葬儀会場でした。


 ここからの話は、わたしの想い出になります。大学を卒業後、勤めた東京の銀行は、バブル崩壊で大変でした。 融資が焦げ付かないよう融資先を訪問することが多かったのです。融資先の中小企業を訪問しては、財務状況を確かめるのが仕事でした。

 まだ、仕事にも、東京にも不慣れだった私は、先輩と一緒でした。業務用のバイクや車で、担当する都内の東部エリアを回っていました。 残業は、毎晩9時、10時は当然のようだったのです。 融資部門では、休日出勤も多かったのです。

 だから 何も予定のない休日は、貴重な時間でした。休みの日は朝から、掃除や片付けを済ませるのです。 そして宅配便の不在配達票を持って、8時から受け取りができる営業所に行くのです。

 再配達もしてもらえるのですが、早く受け取りたかったのです。 荷物を持って帰り、箱を開けるのが楽しみでした。スカート、ワンピース、ブラジャー、ショーツなど購入した衣類のサイズを確かめ、 次に、ウイッグやハイヒール、ブーツなどの試着をしてみるのです。

  購入した衣類や靴、それも女性用の品物が多かったのです。
彼女と同棲していたわけではなく、すべて女装のために買い揃えたものでした。

 入社した年の秋の終わりごろ、風邪をひき寝込んでしまいました。職場には休みの届を出し、休んでいたのです。前日の夜、診察を受けて薬をもらい、下着女装のままぐっすり寝込んでいたのです。

「ピンポーン」とチャイムが鳴りました。

 ランジェリーで寝ていた私は起き上がるのも辛くて、そのままにしていました。数分後、トイレに行き、外の様子を見るとドアの前に人影が、 大急ぎでパジャマに着替えてからドアを開けました。

 そこに、先輩のKさんが立っていました。 部屋にあがってきた先輩から、手土産としてフルーツゼリーをいただきました。

「大丈夫か、仕事は気にしなくてもいいから、2,3日は休むといい」
「すみません、喉が痛くて咳もひどいのです、あと2日ほど休ませてください」

 その会話のとき、洗濯機から、機械の止まる音がしたのです。
「洗濯したのか、外に干すぐらい手伝うよ」
「あっ、いいです、後で自分でやりますから」
「まあいいから、寝てればいい」

 そう言って全自動の洗濯機のドアを開け、洗濯物を取り出したのです。男物の下着に混じって、黒いブラ、ピンクや水色のショーツ、パンストなどが混じっていました。
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 察しのいい先輩は、僕が身につけているものだと気づいたようです。
「君は、下着にも、こるほうだな」
「黒い下着で女装した君に、会ってみたいな」
そう言って、洗濯物を干してくれたのです。

「風邪が治ったら、気分転換に、いいところに連れて行ってやろう」
「今日はありがとうございました」
「誰にも言わないから、気にするなよ」と言い残して、職場に帰っていったのです。

《抱かれて女になる》

 風邪が治ったあと、先輩に女装子、ニューハーフのいる店に、連れて行かれました。その日、小柄な私は、お店でメイクをしてもらい、下着からウイッグまで完全に女装して、ハイヒールの歩き方まで教わりました。

「Kさん、この子を抱いで女゙にしなくちゃ」
「男の人に抱かれて、女装子は綺麗になれるのよ」

「幸せね、初めての男がKさんだなんて」
「二人きりになれるお部屋があるのよ、気持ちが覚めないうちがいい」

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 その夜、夢をみているような気持のまま、身体を許したのです。お店の所有するマンションの一室で、私は女になったのです。

 黒い下着を身につけ女装をしている私は、その夜から彼の求めるまま新宿、池袋、浅草に連れ出され、 お酒のあとホテルに連れ込まれたこともあったのです。決して、嫌なことではなく、心の中では二人きりになれる夜が待ち遠しかったのです。

 その時すでに、先輩は結婚していました。 新婚すぐに妊娠した奥さま、出産後すぐに第二子の妊娠で、つわりも重く実家に帰ってしまった。別居状態で、先輩は性生活に不自由していたのか、ホテルではすぐに女として抱かれました。

 SMというほどでもなかったのですが、奥さまには使えなかった大人のおもちゃを使ったり、 手足を拘束されて、先輩に女装して抱かれることが何度となく繰り返されたのです。
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 先輩は、奥さまが出産後も、早朝からゴルフや夜釣りだと言っては週末の夜、私の部屋に泊まり、 悩ましい下着やコスプレ衣装で女装した私を抱き、性欲を満たしていたのだと思います。

 お通夜の式場には、菊の花がいっぱい飾られていました。゙菊花の契り゙という古い話にもあるように、Kさんは私とのセックスでは、パンティを脱がせると、すぐに菊の形をした蕾に、 彼の硬直した亀頭を押しあて、貫いたのです。

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 菊の花が咲き誇る季節、いっぱいの菊、中にはまだ蕾もあります。彼の愛した私の蕾に、もう一度彼を受け入れてあげたかった。


 彼のもとから、離れることになったのは、ある噂が流れたからです。
会社の規則で、社内恋愛と不倫は禁じられていました。好きだった彼に、゙女性とホテルに入るのを見だと言う噂が流れたのです。

 噂の出所は、奥様と同じ女子大卒の銀行員から、奥様に伝わったのです。彼女は、フリーのカメラマンと付き合っていたのです。 そのカメラマンは、雑誌のラブホテルの取材をしていたのです。

 思い当たることとして、会社から有給休暇の取得をするようにと指定された期間に、私と彼が午後の休みをとり、 休日には予約がとりにくい、人気のファッションホテルに、行ったことがあったのです。

 私の部屋で女装して、二人の担当地域にあるホテルの近くまでタクシーにのり、二人でホテルに入りました。

 ホテルに入る時、まさか誰かに見られていると思わず、最新設備のあるファッションホテルで、楽しい時間を 過ごしたのです。カメラのレンズが向けられていることも知らず、帰りもタクシーを手配せず、夕日を見ながら手をつなぎ 歩いたのです。

 ある日、彼の奥様が訪ねてきたのです。手には、数枚の写真を持ち、私にも見せられたのです。女性とホテルから出てくるKさんの写真、一緒に写っていた女性は、女装した私でした。

 でも、アイメイクも濃く、付けまつげをしていたのと、オレンジ系の茶髪のセミロングのウイッグで、 私だと気づかれなかったのです。 彼は、通りすがりの女の子との一度だけの浮気だと謝ったそうです。

 もし、私でなく他の女だったら私も許せなかった、嬉しい反面、私だとばれたら奥様にどう言い訳するか。 私は、隠し通すことを決断したのです。

「夜釣りの日、主人は一緒だったの?」
「主人をかばわないで、本当のことが知りたいの」

奥様の言葉に、答えるしかないと思ったのです。

「夜釣りの夜は一緒でした。本当です」
「ご主人と共にゴルフに早朝から出かけたり、いろんなことを教えてもらいました」
「仕事の上でも感謝しています、先輩が女性と過ちを犯すなんて、信じられません」

 その時、ベランダに干していた、女性の下着を見られてしまったのです。
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「彼女がいるの?」
「今、同棲している人がいるんです」

「若い人はいいわね、結婚前に同棲できて。」
「まだ、付き合い始めたばかりで、結婚は、まだです」
「ああ、そうなのね。彼女をだますような事は、しないでね。お邪魔しました」

その時は、何も無く終わりました。
でも、用心のため、しばらく彼と会えなくなりました。

《最後のお別れ》

 お通夜は、休日の夕方でした。
親族だけでなく、仕事帰りの会社の関係者が大勢いました。
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 女装しているので、会社関係者に気付かれたくなかったのです。その日は誰とも言葉は交わさずに、式は始まりました。 

私は、会社の関係者席でなく、“遠縁の者”と言い式場の係員に案内され、親族席の後ろのほうに座りました。肉体関係があった私は、”他人ではない”から。

 男と女装子の恋なんて、異常なことです。もし、会社や世間に知られたら、彼も私も、仕事や家庭までも失うかもしれない。彼と奥様、゙お子達の幸ぜを願い、私は7年前のあの日、別れる決断をしたのです。

 最後に彼と過ごした池袋のホテルでも、彼の激しい愛撫の後、女として抱かれた。私の菊の形をした蕾を押し開き、彼の太く堅いもので貫かれた。彼の亀頭が何度も、私のGスポットに当たり、私はそのたびに喜悦の声をあげていた。

 彼も射精が近いのか、私の中で激しく動き、突き上げるのです。快感にたまらず、夢中で彼のたくましい背中を抱きしめ、最後には彼に中出しされたのです。 私も快感の渦に呑み込まれ、大きな波が続けて押し寄せるように、絶頂に登りつめ失神していました。

 女だったら、直ぐに妊娠してしまいそうで、それぐらい身体の相性の良い二人だったのです。

「これが最後よ、奥様を大切にしてね」
黒いスリップ姿で別れを伝えた.

ホテルの部屋を立ち去る彼を、ひとり寂しく見送った。
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 少し時間をあけて、私はホテルを出ることにした。
 その時、菊の蕾からしみだした彼の精液、私を愛してくれた彼の証を拭き取り、シルクのショーツを穿いた。

「彼の家庭を奪うことはできない、これが最後よ」
そう、自分に言い聞かせたあの日を想い出し、涙が頰を伝いました。


 お通夜が終わり、帰宅後は喪服のワンピースを脱ぎ、ほっとしていました。黒いスリップとシルクのショーツ、彼との最後の営みで身につけていたもの。

その夜は、シルクのショーツと黒いスリップ姿のまま、眠ってしまいました。





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