【目次】AV女優になった私
【1】《カメラの前で》《本気で感じて》《パパは、AV女優》
【2】《インタビュー》《AV女優になった私》《本番は女になる》

《カメラの前で》

 メイクさんに化粧をされて、ショートのウイッグを被らされた。

「美術さん、お尻の部分まですべてパイパンにしてるだろうな」
「はい、肛門の周囲もすべて、剃り残しのないようにしました」
「女優のアソコに、毛があったんじゃ絵にならないからな」
 
監督から、下半身をきちんと剃毛しているか、股間からアナルまで再度確認された。

 次はコスチュームデザインの人から、手渡された衣装に着替える。衣装といっても、Tバックのショーツ、悩ましいスリーインワンにストッキングだけ。

「今回は、既婚者だから、指輪を」
「はい、準備してます」

 監督の指示で、私は薬指に指輪をはめるように言われた。離婚してから外していたが、用意されていたものは、偽物だと思うが、大きなダイヤのリングだった。


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 ベッドの上で、男優と絡み合うシーンの撮影が始まった。ベッドの上で、男優に挿入されて、喘いでいる私。

「もっと、泣くんだ、美紀ちゃん、女のように」
「音声、ちゃんと音を取れよ」

 激しく正常位で突き上げられている私。今は、AV女優となった私は美紀、本当は男なのです。女性のように膨らんでいる乳房を、男優に揉まれて喘ぎ声を上げるように言われる。

「ああっ、アアー」

 男優が身体を前に倒して、キスしてくる。彼の求めに応じて、舌を受け入れ、口の中で舌を絡ませ合う。

「カット」監督が、OKを出した。
「この声だと、このまま使えるから、声の代役は、なしで続けようか」

私の声が女性のように高いので、吹き替えなしになった。

 小道具さんから、「何味にしますか」と聞かれた。
「何のことですか?」
「口内射精、顔にかける疑似精液の味です」
「普通は、どんな味ですか」
「レモン、ヨーグルト、何もなしも多いです」
「それじゃ、何もなしでいいです」

 撮影は、スタジオで行われたが、思ったより大勢の人の前で演じる恥ずかしさがあった。女優、男優、監督、カメラマン2人、音声、照明、制作スタッフ、小道具兼美術、メイク、コスチュームデザイン(衣装)など、10人以上の人の前で、私はAV女優になっていた。

 ふたたび、ベッドシーンの撮影が続けられた。M字開脚して、男優を受け入れているシーン。身につけていたプレイ下着だけで、抱かれている私。

 当然、秘部もアップで撮影され、女装している私の顔も間近で撮影されている。しだいに、男優の動きが激しくなって、顔射されるシーン。

 男優が隠し持っているチューブから、どろっとした白いものがほとばしり出る。私の顔に、目元、唇にべっとり付着する。私の顔に男優の精液がうまく飛ばないこともあって、そのシーンが何度も取り直し。

 最後は、本物の精液でやってみようと言うことになった。

《本気で感じて》


 ベッドの上で、さっきまでの演技とは違って、射精しなければならない男優の動きが違った。ほんとうに私の中で、感じるように男優の硬くなったものが、Gスポットに当たる。

「アアッ、いいわ」
「いい、逝きそうだ」
「いいわ、逝って」
「イクゾ、いくっ」

 男優が私の中から抜け出して、私の顔に向けて顔射した。
目の下、唇や口の中に、白いしずくが飛び散った。二度、三度。つくりものの精液と違い、においも味もある。

 それよりも、男優が激しく突き上げるたびに、私は逝きそうになっていた。次の撮影シーンがなければ、逝かせて欲しいと思った。次は、男優との絡みで、刺激され最後にはところてんかバイブで射精するシーンのために、我慢せねばならなかった。

 制作スタッフからも、撮影前、一週間はオナニーを我慢してと言われていた。

 私は、藤谷よしのり、28歳、普通の会社員だった、といってもシステムエンジニア、給料は高い方だったはず。都心にマンションを買い、昨年は二人目の子どもが生まれた。
 その私が、なぜAVに出演する事になったのか。それも女優として。

 実は、学生時代から女装していた。ホモだったわけではなく、女装して渋谷の街を歩いたり、買い物をしていると難破されるのが楽しかった。声も高い方なので、女装と気づかれることもなく、お茶や食事ををおごってもらったりした。

 背が低い私は、サッカーでもバスケでもレギュラーにもなれず、女子にももてなかった。けれど、ネットの掲示板に、女装写真を投稿すると、返事を出すのが面倒なぐらいメールが来た。女装することが、ますます楽しくなった。

 大学を卒業してからは、女装してお店でアルバイトもした。仕事で溜まったストレスの解消が目的だったが、いつの間にか、気の合う人とホテルで楽しむようになった。

 そして、女装のことは隠したままで、結婚して7000万ほどのマンションを購入した。子どもが生まれるのは嬉しかったが、妻はつわりがひどく、2ヶ月ぐらい実家に帰ってしまった。

 やめたはずの女装、それが楽しくて、少し胸を大きくしたくなり手術をした。左右に120㎖ずつ、それでもふっくらとして、ブラジャーが必要な大きさになった。

 妻のいない夜、ネットで知り合った男性に、僕は女装して会うことにした。 相手の求めることは、ひとつ、セックスをすることだった。

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 僕は、女装してホテルで抱かれた。胸が大きいと、相手は喜んでくれた。ネット上でも人気がでたのか、相手探しに困ることはなかった。同じ相手とは、3度までにして、女装して出かける時は、いっさい身元の分かる物は持たなかった。

 ただ、ひとつ、女装用のスマホを、女装して出かけるときに使用した。

 それをある日、家に置いたまま仕事に出かけてしまった。二人目の出産をして、実家に帰っていたはずの妻がものを取りに来て、そのスマホを見つけてしまった。

着信音が鳴り、妻が出た。
「明日、都合がついたら、ホテルで楽しい時間を過ごそう」
「あなたは、誰?」
「俺だよ、美紀ちゃん、また女装した君に会いたい、また抱きたい」

 妻がスマホの写真画像を見た。女装して抱かれている写真、フェラチオをしている写真、さらに、手術して女性のように膨らんだ乳房、クローゼットに隠していた女装道具、それが離婚原因となった。

 慰謝料で貯金はなくなり、養育費の支払い10万とマンションのローン17万、他に管理費や光熱費を支払うと、給料の残りは3万ほど。マンションを売却することにしたが、売れるまでに生活費すら足りなくなってしまった。

 そこで、AV女優(ニューハーフ、女装子)募集を知り、応募してみた。28歳は不採用と言うことだったが、大人しいワンピースで、応募したら若く見えるからと採用になった。
 AV制作者から、ありきたりの未婚のニューハーフや女装妻でなく、既婚の男性をAV女優にするという新企画も面白いと、決まったようだった。

 AV女優、美紀としてすぐに撮影の日が決まった。美紀と言う名前は、女装でも使っていた。よしのりとも読めたてので、本名と同じように思えた。

 職場には1日だけの休暇を申請、撮影は、週末の3日間で終わった。DVが発売されたが、会社の誰もそのことには気づいていないようだった。

 係長に昇格したその日、昼休みに、携帯に電話が入った。販売が好調で、シリーズ化するからと、次回の撮影の予定が伝えられた。



《パパは、AV女優》

 3日目の公園での撮影、あわただしい雰囲気の中、準備が始まった。ロケバスから、カメラマンや音声、照明のスタッフが降りてきた。

AVjoyu2-1a この公園での撮影は、60分。
父親役と、女装してAV女優の役を演じなければならない

 私は、着替えの時間の節約のため、ロケバスの中で、下着は白いショーツ、シームレスのブラジャー、パンティストッキングを穿いた。

 顔の化粧をうすく塗られて、茶髪の男性用ウイッグを被らされて、衣装を身につけた。

 男物の、ジーンズ、シャツを着て、スニーカーを履き、ロケバスから公園に降りた。

 監督から、衣装担当に指示が飛ぶ。
「おい、ブラが見えるじゃないか、白いシャツはダメだ」
「出勤前の男親のシーンだから、もっと野暮ったくしろ、眼鏡をかけさせろ」

監督から、撮影助手に指示が飛ぶ。
「子役のおちびさんが、退屈している」
「待たせている間、退屈しないように、誰かあそんでやれ」


 大急ぎで着替えた。すこし厚手の紺色のトレーナーにして、OKが出た。撮影では、どこの公園か分からないように、目立つ建物が映り込まないよう場所が決められた。

 ベビーカーを押した女優と、少し離れて3歳ぐらいの子どもがいた。母親役の女優が、砂場のそばに立って、砂場で遊ぶ子どもを見ている。顔が映り込まないように、子どもの後ろから撮影は始まった。

「パパは、用事があって、もう仕度をしなきゃ」

「カット、」
監督から、OKが出た。

 このシーンが、一番最初に映し出される。男の顔での撮影は、この公園だけだった。茶髪で、眼鏡をかけて、顔にはうすく化粧もしていたので、職場の仲間にも分からないだろうという安心感があった。

 私は急いで、ロケバスの中に入った。トレーナー、ジーンズを脱ぎ、用意されたワンピースに、白いジャケットを着た。

 メイクさんから、つけまつげ、口紅、アイシャドウなどの化粧され、最後にウイッグを頭に留め、ずれがないようにして、赤いバッグを持って、今度は女装してロケバスから降りた。


 昼近くなり、公園の砂場で遊ぶ子どもが増えていた。撮影場所を、砂場の近くから、少し離れた遊具の場所に変えることになった。子ども達が遊ぶ公園で、子どもが映り込まないタイミングの撮影。
 
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公園内の遊具の前、人が通らないのを確かめて、撮影が始まった。

 公園でのシーン2は、男と待ち合わせ、女装した私が登場する。公園の入り口から、遊ぶ子どもと妻の方を、少し振りかえる。

「今日は、ごめんね」

 そうつぶやいている私、子どもや妻に、聞こえただろうか。女装している私には、気づいていないようだった。

「今からパパは、お仕事だから」
 慣れないハイヒールで歩き、公園のそばに止まっている車の助手席に乗り込む。車の中で、運転席の男優に、話しかけられた。

「公園にいた子、君の子か? パパに似て、可愛い子じゃないか」
「子どものことは、言わないで」
「今日の君も、可愛いよ、美紀を男にしておくのがもったいない」
「どうするつもり?」
「美紀は、今から俺の女になるんだよ」

 車が動き出して、公園での撮影が終わった。

 ホテルに着くと、男優との濡れ場。
ベッドでのシーンに入ると、顔の表情や声の高さ、普段のセックスとは違って、男優の愛撫に浸るのではなく、男優の愛撫に合わせるように腰の動き、喘ぎ声に注文が飛ぶ。

 セックスを楽しむのではなく、演技を求められた。短いカットの連続、ようやくフィニッシュを迎えて、男優と共に上り詰めてゆく。






《つづく》 AV女優になった私【2】




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