【目次】二つの性を持つ彼女
【第1章】《妻との出会い》《繁みに隠された秘密》
【第2章】《彼女を女にするために》《息子から娘へ》
《妻との出会い》
昨日は玲子にとって、出産前の最後の出勤だった。今日は、僕の車で玲子をのせて病院まで送っていく、病院から会社までは20分ほどの距離。
出産の予定日までは半年ほどもあるが、「できるだけ母体に負担がかからないように」との医師の指示があって、彼女は6月から休職することになった。

妊娠4カ月、少しつわりがきついのか、疲れたような表情をしていることが多い。
踵の低いサンダルに、ウェストをしめつけない服に変えたようだ。
後部の座席に彼女を座らせて、彼女のおなかに触ってみる。
「まだ、大きくなってないわ」
「ここに、いるんだね・・・」
「そうよ、大事にしてね」
「いま触っているのは、パパですよ」
そうささやく僕に、彼女は微笑んでいた。
僕にとっては初めての子ども、玲子に宿った小さな命。
無事に生まれてきてほしい、そう願うばかりだ。
話は、1年前にさかのぼる。
不況にもかかわらず、うちの会社は国内に新工場を作り、コスト削減にも成功、海外の工場がコロナ禍で生産出来ない製品を輸出、収益を大きく伸ばしていた。
4月には、お決まりの人事異動があった。海外事業部の次長に昇格となった。そこでは20名ほどのスタッフがいて、次長の僕には秘書がついた。
秘書の鈴木玲子、アメリカ生まれで帰国子女、神戸の有名な女子大を卒業している。母親が中国人だったせいか、英語だけでなく中国語も話せる。仕事を進める上で、彼女の語学力にはかなり助けられた。
移動があって1カ月ほどしたころに、会社の創立記念のパーティーがあった。来賓の応対を手伝っているところに、創業者である社長がやってきた。
その横には、鮮やかなチャイナドレスをまとった玲子がいた。
玲子は、社長の車で奥様と一緒に、会場に来たようだった。

社長から声をかけられた。
「実を言うと、玲子はわしの娘ではなく、弟の娘だ。」
「社長、やっぱり、そうなんですね」
「わしに、似ておらんからか」
「弟よりも、あの子の母親とよく似ている。母親は、色の白い中国人、だから、あの子もチャイナドレスが似合うのかな。」
「そうだったんですね、お嬢さんではなかったんですね」
「娘だと思っている、阪神大震災で両親を亡くしてから、わしが引き取って面倒を見てきた。これからも玲子をよろしくな」
社長の親族という噂が、本当だったと知った。
玲子は、大学院卒、27歳という年齢もあって、会議でも余計なことを言わずに、率直な意見を出し、けっこう気の強い面を見せていた。
ゴルフの練習場で出会い、休日に劇団四季のミュージカルに誘われたりして、何度か二人でデートを重ねているうちに、誰もがそうなるように彼女とキス、抱擁し、彼女のすべてがほしいと思うようになった。
33歳にもなって、まだ独身の僕は、食事よりも何よりも性生活で不自由していた。玲子の身体がほしい、淫らな肉欲が夢の中でも彼女を求めていた。
初夏のある日、彼女から誘われて、遅い午後の食事に行くことにした。
指定された場所に来た玲子は、いつの間にか仕事用のスーツから、水色のワンピースに着替えていた。

午後からは休暇にした。どこに行くか、彼女の希望に合わせた。
そこからタクシーで5分ほど、西梅田のハービスENTにあるレストランにした。
店長に勧められた初夏の野菜や素材を使った料理を味わった。
ゆっくり味わう料理は美味しかった。
向かいに座っている玲子の、豊満なバストを見ながら、玲子とも楽しく話が盛り上がり満足していた。
二軒目の堂島のバーで、いつになく飲みすぎてしまった。
「玲子ちゃん、素敵な彼氏ね、あなたにもいい人が現れたのね」
お店の奥で、女将が玲子に声をかけていた。
僕は、勘定をすませると財布を落とし、ふらつく真似をした。
「大丈夫?ひとりで帰れるかしら」
「タクシーなら大丈夫、一緒に乗って帰ろう」
玲子の住んでいるマンションも、僕の家のすぐ近くだった。
玲子のマンションの近くでタクシーを降りて、二人で歩いた。
「突然だけど、話を聞いてくれ」
「ええ、何の話し?」
「実を言うと僕は君が好きだ、結婚を考えてくれないか」
「・・・私には結婚は無理、子どもができない身体なの」
「僕は上司だから、君の健康診断の結果だって知っている。健康で何の病気もない」
「そうよ、健康だけど、わたしは女じゃない」
「何を言ってるんだ、君ほど美しい女性が女じゃないなんて」
「酔っている僕に、そんなことを言うなんて、僕が嫌いなんだね」
その夜は、このままで終わらせたくないと酔った勢いで彼女のマンションに上がりこんでしまった。 エレベーターを降りて、彼女の部屋に入った。
廊下を歩き、ドアを開けると広いリビングだった。そこで、彼女を抱きよせて、キスをした。彼女は眼を閉じて、僕に抱かれていた。
しばらく、そうしていたが彼女が、僕に話しかけてきた。
「あなたが、本当のわたしを知って、それでも私を愛してくれる?」
「ほんとうの君を、僕が愛さないはずはない」
「それじゃ、今夜、私を抱いてくれる、逃げ出さないでね」
「汗をかいたわ、シャワーさせてね、あなたもシャワーしない?」
「そうだね、僕は後でもいい、先に君がシャワーするといいよ」
「じゃあ、私が先にさせてもらうわ」
「いいよ、待ってるから」
彼女がバスルームに入りシャワーの音がしていた。
その後 バスルームのドアが開く音がして、濡れた髪を乾かすドライヤーの音が聞こえてきた。
僕がバスルームに近づくと、彼女はバスローブを着ていた。
「お待たせ、今から、あなたもシャワーするといいわ」
スーツもネクタイも外し、下着を脱いでバスルームに入った。
シャンプーやリンス、石鹸もきちんと並べられていて、彼女からタオルを手渡された。さっと身体を洗って、バスタオルを腰に巻きつけてリビングのソファーに座った。
冷たいお茶のはいったグラスが、近くに置かれていた。
ソファーには、パジャマが用意されていた。
誰のパジャマか?そう考えていると、後ろから声がした。
「パジャマは、父のものだから、サイズが少し大きいかも」
「ゆったりしてるのも、僕は好きだよ」
「もう少し待ってね、今から、支度をしてくるから」
彼女は自分の部屋に入り、化粧を直しているようだった。
リビングのテレビを見ながらも、気持は彼女とのセックスを期待してしていた。
《繁みに隠された秘密》
彼女との話の中で、彼女が結婚できないと言った言葉を思い出していた。
彼女が隠していることは何だろう、結婚歴があって妊娠中絶で子どもが産めなくなったというのか。それとも乳がんで乳房を切除したというのか、考え込んでいた。
化粧が終わったのかドアが開く音がして、彼女の声が聞こえてきた。
「寝室で待ってて」
彼女の部屋の中に入ると、セミダブルのベッドがあった。
「何か、飲み物を持ってくるわ」
部屋の明かりを少し暗くして、彼女が寝室に入ってきた。
着やせするタイプなのか、寝室で見る彼女は肉付きのいい白い肌、むっちりした太腿、豊かな二つの胸のふくらみがあった。

悩ましいピンクのベビードールを身に付けた彼女。
下半身には小さなショーツだけ、彼女の白い肌が目の前にあった。
エロチックな欲望がさらに、目の前にあった玲子の二つの胸のふくらみに注がれた。
衝動的に彼女にむしゃぶりつく、一匹のオスになろうとしていた。
彼女が差し出したグラスには、炭酸ソーダで割った甘いレモンのリキュールが入っていた。それを一気に飲みほすと、彼女を抱きよせた。
彼女をベッドに横たわらせ、その隣に滑り込んだ。
すぐに、がっつくような餓えた男のまねをしたくないので、彼女を抱きよせ、口づけをした。
長い口づけのあと、彼女の耳、うなじ、首筋から徐々に熱い息を吹きかけながら、唇で感じやすい部分にやさしく刺激を与えて続けた。
「アアー」と彼女の口から、かすかな声が漏れる。
それでも彼女は、じっと僕のするがままに身を任せていた。
じっくりと、豊満なバストへの愛撫を続けた、「アアー」と唇から洩れる彼女の声。
右手で彼女の乳房をわしづかみにして、反対側の乳首を僕の舌で舐めるようにして、時おり激しく吸いついてみたり、乳首をそっと噛んでみた。
「ああっ」 彼女がぼくの手を握りしめようとした。かなり敏感に感じているようだ。しばらくして、僕は彼女の下腹部に舌を這わせていた。

彼女の身につけているのは蝶をデザインしたレースのスキャンティ、白いその下着は僕の手で脱がされようとしていた。
スキャンティには割れ目があり、彼女の秘部に手を近付けた。
スキャンティの割れ目には、小指ほどの突起があった。その突起は、僕が触ると少し大きさを増した。
次第に柔らかだったその突起は堅くなり、親指ほどになった。
彼女の可愛い突起、指で触れると彼女はのけぞる。その先端から透明の液が滲みだしている。僕はその部分を見つめた。
「わかったでしょ」
「なんのこと?」
「わたしには貴方と同じものがあるの」
僕は彼女のその部分を口に含んでみた。
柔らかい突起はさらに堅さを増した。
「ダメッ、そんなことしないで」
「・・・」
「ああっ、ダメよ」
彼女がのけぞるのが分かった、その部分を口に含んでいたから、僕は声が出せなかった。
そして、彼女の突起を包んでいる柔らかな皮の部分を剥いた。するっと剥けた中から、亀頭とも呼べる部分が現れた。
小さいけれど、それはクリトリスではなく、僕のものと同じ男性器の形をしていた。
彼女の突起というか、亀頭部分を指先で刺激をしていると、彼女は強く感じているのか、両脚に力が入り、上半身を硬直させて、息を荒くしていた。僕はさらに刺激を続けた。
そして、絶頂を迎えたのか、彼女はのけぞり、彼女の秘芯を口で刺激してた僕の頭は、彼女の太ももに挟まれてしまった。
しばらく息を荒くしていた彼女は、余韻を楽しむかのように、それを邪魔する僕の手と顔を遠ざけた。
僕は妙に興奮していた、大きなバスト、美しい顔、なのに下半身には僕と同じものがある。少し小さいけれど、それがあるということは、彼女は男なのか、僕の指先と口唇の刺激で、逝ってしまった。
射精こそなかったが、透明の液体がにじみ出ていた。精液のような匂いはしない、僕は彼女のペニスを、フェラチオしていたことになるのか。
僕は位置を替え、身体を密着させるように彼女を抱きながら、さらに彼女のクリトリスのすぐ下で、しっとり濡れている部分があることに気がついた。
彼女の股間にある、その部分に指を入れてみた。少し強引に指を突き入れてしまった。
「だめよ、イタイから」
「ごめんね、でも、ここは、少しだけ僕の好きにさせてくれないか」
彼女に謝りながら、指先に神経を集中していた。
かなり深い、そう思った。その時、彼女がぼくを押しのけようとした。
「もう、やめて、わたしが女じゃないって分かったでしょ」
「そんなこと」
そう言っている間にも、彼女の強い抵抗にあって僕はベッドから落ちてしまった。 強くひじを打って、僕はうずくまりながら痛みに耐えていた。
「ごめんなさい、痛む?」
「うん、少し痛い。だけど、ひどいじゃないか」
「お詫びに、あなたが望むようなことしてあげる」
僕の下半身に手をかけ、彼女は僕のものを口に含みしゃぶり始めた。僕は、彼女の行為を受け入れていた。 次第に快感が増し、彼女の指先の動き、舌を絡め、舐め、深く彼女の口の中に含まれると、すぐにでも暴発してしまいそうだった。
しばらく、彼女のなすがままに任せていたが、彼女の身体を引き寄せ、あおむけになるように彼女をベッドに寝かせた。そっと口づけをして、彼女の耳元に囁いた。
「僕に君の処女をくれないか」
「何を言ってるの、わたしは女じゃないのよ」
「君が本当に女じゃないか、僕は確かめたいんだ」
それからしばらく、彼女の身体を愛撫して、彼女の股間が潤ってくるのを確かめた。僕の下半身もまた大きく堅くなり、それを受け入れてくれる場所を求めていた。
「ああっ、痛い」
「やさしくするから」
「無理よ、入らないわ」
「あまり痛むようなら、やめるから」
そうは言っても、僕は彼女のその部分に挿入を始めた。ぼくの硬直したものが、彼女からあふれ出てくる蜜のせいか、あまり抵抗感もなく、ゆっくりのつもりが、ぐいっと突き刺すように根もとまで入れてしまった。

「アアッ、・・・」
彼女は少し痛がっていたが、僕は腰を動かし、男性の本能というか、射精する快感を求めるオスになっていた。その瞬間は、すぐにやってきた。
彼女も僕の身体を抱きかかえるようにして、その時を迎えた。
「痛むかい?」
「気にしないで、あなたの好きなようにして」
「君の中で、こんなに感じている」
「・・・・」
「逝きそうだ、すごくいい」
「いきそうなの?」
「ああー、もう逝くよ」
「いいわ、逝ってね」
彼女の中で僕は果てた。
もし、彼女に子宮があって妊娠したらと心配したが、僕は彼女をベッドに寝かせて、男と女として官能の求めるまま、愛の営みを続けた。彼女も何度か登りつめていたように思えるが、射精している様子はなかった。
差しこむ光で目が覚めた。窓の外は夜が明けていた。
いつもと違う部屋の気配、しばらくして彼女の部屋だと気付いた。
エプロン姿の彼女から、「朝食にしましょう」と声をかけられた。
「ごめんね、昨日はどうかしてた、ごめんね」
「いいのよ、そのつもりで貴方を誘ったんだから」
「痛かった?僕が無理にしたから」
「そんなことないわ、というか少しはね」
「痛い思いをさせてごめんね、僕だけが楽しんだみたいで」
「実は、わたしも感じてたのよ」
彼女が感じて、絶頂に達したことは分かっていたが、彼女の口から聞いてみたくなった。
「どっちで?」
「馬鹿ね、あなたがわたしの中に入っていた時」
「じゃあ、ペニクリ、そっちじゃなかったんだね」
「もー、からかわないで」
彼女の機嫌を取るように、昨夜の営みについて感じたことを話した。
「昨日は、ホント、素敵だったよ、君はとっても素敵だった」
「ありがとう、でも、私にあんなものがあって、ごめんなさい」
「君が謝ることはないよ、自然のいたずらとしか思えない」
「また、わたしを女として抱いてくれる?」
僕は少し考えてから返事した。
彼女が、男なのか女なのか、両方かもしれない。昨夜、僕は彼女を女として愛した。
小さな彼女の突起は刺激すると、それだけでも彼女は逝けそうだったが。
でも、目の前にいる彼女は僕を受け入れ、女として性の喜びを共にした。
今の僕にとっては、彼女は普通の女性にしか見えない。
朝食のあと、僕はあることを約束して彼女の部屋から帰った。
《第2章》 彼女を女にするために
コロナ禍で、会社の機構改革があり、輸出事業部からIT戦略室長への人事異動があった。僕は残業の多い職場だったが、玲子は、定時で帰れる海外事業部に残ることになった。
「もうそろそろ終わりにするか」
周囲の部下に声をかけた、みんな、疲れたような顔をしている。
週末だというのに、飲み行く元気もない、そんな雰囲気だった。
「じゃあ、お先に!!」
「次長、なんだか元気そうですね」
「まあな、ちょっと、いいことがあるんだ」
いつもの10時過ぎの電車を降りると、改札を出た。小雨が降っている駅前のタクシー乗り場を通り過ぎたところに、車は止まっていた。ウインカーが点滅している車の窓が開いて、玲子の声がした。
「お帰りなさい」
今夜から、彼女との約束通り、僕は彼女と休日を過ごすのだ。
彼女のマンションのエレベーターの中で、玲子を抱き寄せて唇を奪った。
彼女に密着した下半身には、硬直した僕のものが存在感を示していた。
彼女の部屋についてから、用意されていた夕食のあと、僕は風呂に入った。十分温まった身体を拭き、ソファーに座り、彼女から渡されたビールを飲んだ。
「ねぇ、こっちに来て」
「えっ、なにか言った?」
「女に恥ずかしいことを何度も言わさないで」
彼女の待っている寝室に入った。
ベッドに薄いピンクの下着姿で彼女は待っていた。

「もういいのかい?」
ささやくように声をかけ、黙ってる彼女の手をとった。
「今夜も、ステキだよ、はじめてもいいのかい」
「ええ、オネガイ」
そう答えると、彼女はやさしく肩に手を回してきた。
彼女の身体を抱き寄せて、豊かなバストを最初の標的にした。乳房を薄いスリップからはみ出させると、いよいよ玲子とのプレイの始まりだ。
彼女の乳首の周囲をなめまわし、さらに乳首を舌の先で刺激すると、彼女は感じるのか、声を上げていた。
「アアーン、そこ感じやすいの」
「感じやすいなら、もっと感じてごらん」

玲子の乳房に吸い付き、乳首を舌の先で転がすようにした。片方の手で、反対側の乳房をやさしく揉み、今度はその乳房に吸い付き、舐めまわした。
彼女の胸に顔をうずめながら、空いている手で太股を撫で回した。さらに彼女の股間に手を当てて、ある部分を探し出し、その部分をやさしく触れるか触れない程度に刺激する。

透けるようなショーツの中、そこに手を潜り込ませて、指先で微妙に刺激すると、みるみるうちに、彼女のモノが親指ぐらいに大きく硬くなっていくのが分かる。
「アアーン、ダメよ」
「ダメなら、やめようか」
「イヤッ、続けて、オネガイ!」
食いついてきそうな、彼女のあの部分から指を離した。
「意地悪!」
「どうしてほしい?」
「分かってるくせに」
「ほら、こんな風にすると感じる?」
「ああっ、オネガイ!、続けて」
「いいのかい、ほら・・・」
「アァーン、素敵、あっ、いいっ!」
彼女のショーツを取り去ると、彼女の男性自身というか、尖っているあの部分を口に含んだ。
「ああっ、ああ、ダメよ」
「ああ、逝くわ、いっちゃう」
強弱をつけながら、舌の先で刺激を続けた。
舌の動きを早めたら、彼女は身体を固くして、のけぞり絶頂に達した。
ここまでは、彼女を女として開花させるためのプロセスに過ぎない。彼女に女としての悦びをを与えるだけでなく、彼女の女性である部分に挿入する。そこから、雄の本能として、メスの子宮に精を注ぎ込み、官能の悦びを味わうのだ。
彼女の持つ小さな男性器官で味わう喜びよりも、彼女が男を受け入れるあの部分でこそ、彼女が女として官能の悦びを経験し、女になる悦びを与えてやりたい。
それから、しばらくして私は彼女の主治医からの話を聞くということで、大学病院に同行することになった。その外来は、かなり混み合っていた、彼女の診察の順番が来て、第4診察室に入った。
《息子から娘に》
50過ぎの主治医から、これまでの治療の経過を説明された。
その説明を要約すると、彼女は生後すぐに「男」として誕生した。
しかし、それはあくまでも両親の希望に沿うもので、実は彼女は「半陰陽」だったというのだ。
両親は、息子として育てたいと希望した。
両親のもとで彼女は、男として育てられて思春期を迎えた。
実際、成長するにつれて、中学性になる頃には、乳房が膨らみ、彼女は女性化し始めた。幸いなことに、まだ、声変わりもしていなかった。
詳しく検査をしたところ、小さくて包皮に包まれている外性器は、陰核のようであった。しかし、睾丸は委縮しており、子宮の奥には卵巣も完全な形で存在していた。
彼女が高校に入る直前、主治医は、彼女に女性としての人生を選択することを勧めていた。両親も同意の上で、機能を喪失した睾丸の手術を受けて性別の変更を行い、女子校に進学した。

家族は、神戸に引っ越した。彼女のことを知らない地域で、女子校に通学させるためだった。 最初は、セーラー服を着ることには、抵抗があった。下着も、ショーツ、胸にはブラジャー、スリップを着て登校する事に、とても恥ずかしさを感じていた。学校も休みがちだった。
そんなある日、大きな地震が神戸を襲った。彼女の家も倒壊した。助け出されたのは、彼女だけだった。その後、伯父に引き取られ、イギリスで暮すことになった。イギリスで、少しずつ生活することに慣れて、女性として成人していった。
婦人科の医師から、成長するにつれて、性別を明確にするために手術が必要になるだろうと、伯父夫婦は言われていた。
主治医は、外性器の手術を受けて、外見も「女性になる」という選択を彼女に提案した。
子宮や卵巣の機能は女性ホルモンの働きで、大人の女性として成長していくだろう、しかし、子どもが産める可能性は低いと伝えていた。
彼女は、学生時代ずっと子宮や卵巣の発育が遅れていた。男性と性交渉をするうえで支障となることを心配して、主治医は外見も「女性になる」という選択を、何度か両親に提案した。結局、手術を受ける前に両親が震災で亡くなってしまった。
もう少し女性ホルモンが多く分泌されるようになれば、大人の女性に近づいていくことが予想された。主治医は、高校生の女の子に、男性と性交渉をすることで、さらに女性ホルモンが分泌されて、子どもが産める可能性があると伝えるのをためらい、そのままになっていた。
20歳過ぎるころから、彼女は「月経」が始まった。女性として生理を経験するようになっていた。 今日の検査で、彼女の身体は大人の女性へと変化していることが確認された。主治医からは、見た目も陰核(クリトリス)程度に、外性器の手術をすべきだと伝えられた。
「でも、私がその手術をしたからといって、何も変らない」と彼女から言葉が出た。
「君は、僕の妻になればいい」
「子どもだって、産めないかもしれないのよ」
その彼女の言葉を遮るように、僕が話した。
「君と結婚したい、子どもができたら僕が父親になるから」
彼女にそう告げて、彼女の手を握った。
彼女は女性として抱かれることで、より一層、女性に成長していく。
それから僕は毎晩のように彼女を抱いた。
彼女の身体はしっかりと僕を受け入れ、反応し、熱い息を吐き、全身が性感帯のようになって、絶頂を迎えていた。
1か月後、夏の暑い日差しの中、二人で大学病院を訪れた。
先に検査があって、診察室に呼ばれた。
「おめでとうございます」
主治医から、彼女が妊娠していると伝えられた。
「奥さんは、妊娠されています。非常に珍しい事ですが、半陰陽の方は妊娠しにくいというか、卵巣の機能が退化してしまっているか、正常に機能しない方がほとんどなんです」
主治医からはそう告げられた。
「当病院で出産の申し込みをしてください」
「ただし、外性器の手術は、出産後にしましょう」
できることなら、彼女のペニスを残しておきたい。
でも母親になる彼女に、僕からはそれは言い出せなかった。
彼女と病院の入院係で手続きをしていると、急に気分が悪くなったのか、彼女が吐き気を催した。
しばらくして、戻ってきた彼女がうれしそうにしていた。
「たぶん、つわりだと思うわ」
「じゃあ、これからは毎晩できないね」
「だいじょうぶよ、あなたの好きなこと、してあげるわ」
その夜から、僕は彼女の手と口唇による愛撫で、男性の悦びを感じることになった。
それと、つわりが少し収まってから、すぐに結婚式を挙げた。

ウェディングドレスを着ていても、お腹が目立つようなこともなく、式は終った。戸籍は、子どもの頃に女性に変更されていたので、入籍も無事に済ますことができた。
「仕事を続けたい」という彼女の希望を受け容れて、負担の少ない業務に配置換えをした。職場では、離れて働くことになったが、帰宅してからは彼女と夫婦の時間をしっかり持つようになった。
特に夜の営みでは、あと半年ほどで無くなってしまう彼女のペニスを丁寧に愛した。口に含み、彼女が感じていることを確かめながら、ソフトな刺激を続けた。

最後には、必ず彼女は絶頂に達した。
「アアーン、逝っちゃう」
「いいよ、玲子、逝ってもいいよ」
「逝くっ、アアッ」
荒い息づかいと共に、彼女の声を聞くのを、楽しみにしている僕だった。
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【第1章】《妻との出会い》《繁みに隠された秘密》
【第2章】《彼女を女にするために》《息子から娘へ》
《妻との出会い》
昨日は玲子にとって、出産前の最後の出勤だった。今日は、僕の車で玲子をのせて病院まで送っていく、病院から会社までは20分ほどの距離。
出産の予定日までは半年ほどもあるが、「できるだけ母体に負担がかからないように」との医師の指示があって、彼女は6月から休職することになった。

妊娠4カ月、少しつわりがきついのか、疲れたような表情をしていることが多い。
踵の低いサンダルに、ウェストをしめつけない服に変えたようだ。
後部の座席に彼女を座らせて、彼女のおなかに触ってみる。
「まだ、大きくなってないわ」
「ここに、いるんだね・・・」
「そうよ、大事にしてね」
「いま触っているのは、パパですよ」
そうささやく僕に、彼女は微笑んでいた。
僕にとっては初めての子ども、玲子に宿った小さな命。
無事に生まれてきてほしい、そう願うばかりだ。
話は、1年前にさかのぼる。
不況にもかかわらず、うちの会社は国内に新工場を作り、コスト削減にも成功、海外の工場がコロナ禍で生産出来ない製品を輸出、収益を大きく伸ばしていた。
4月には、お決まりの人事異動があった。海外事業部の次長に昇格となった。そこでは20名ほどのスタッフがいて、次長の僕には秘書がついた。
秘書の鈴木玲子、アメリカ生まれで帰国子女、神戸の有名な女子大を卒業している。母親が中国人だったせいか、英語だけでなく中国語も話せる。仕事を進める上で、彼女の語学力にはかなり助けられた。
移動があって1カ月ほどしたころに、会社の創立記念のパーティーがあった。来賓の応対を手伝っているところに、創業者である社長がやってきた。
その横には、鮮やかなチャイナドレスをまとった玲子がいた。
玲子は、社長の車で奥様と一緒に、会場に来たようだった。

社長から声をかけられた。
「実を言うと、玲子はわしの娘ではなく、弟の娘だ。」
「社長、やっぱり、そうなんですね」
「わしに、似ておらんからか」
「弟よりも、あの子の母親とよく似ている。母親は、色の白い中国人、だから、あの子もチャイナドレスが似合うのかな。」
「そうだったんですね、お嬢さんではなかったんですね」
「娘だと思っている、阪神大震災で両親を亡くしてから、わしが引き取って面倒を見てきた。これからも玲子をよろしくな」
社長の親族という噂が、本当だったと知った。
玲子は、大学院卒、27歳という年齢もあって、会議でも余計なことを言わずに、率直な意見を出し、けっこう気の強い面を見せていた。
ゴルフの練習場で出会い、休日に劇団四季のミュージカルに誘われたりして、何度か二人でデートを重ねているうちに、誰もがそうなるように彼女とキス、抱擁し、彼女のすべてがほしいと思うようになった。
33歳にもなって、まだ独身の僕は、食事よりも何よりも性生活で不自由していた。玲子の身体がほしい、淫らな肉欲が夢の中でも彼女を求めていた。
初夏のある日、彼女から誘われて、遅い午後の食事に行くことにした。
指定された場所に来た玲子は、いつの間にか仕事用のスーツから、水色のワンピースに着替えていた。

午後からは休暇にした。どこに行くか、彼女の希望に合わせた。
そこからタクシーで5分ほど、西梅田のハービスENTにあるレストランにした。
店長に勧められた初夏の野菜や素材を使った料理を味わった。
ゆっくり味わう料理は美味しかった。
向かいに座っている玲子の、豊満なバストを見ながら、玲子とも楽しく話が盛り上がり満足していた。
二軒目の堂島のバーで、いつになく飲みすぎてしまった。
「玲子ちゃん、素敵な彼氏ね、あなたにもいい人が現れたのね」
お店の奥で、女将が玲子に声をかけていた。
僕は、勘定をすませると財布を落とし、ふらつく真似をした。
「大丈夫?ひとりで帰れるかしら」
「タクシーなら大丈夫、一緒に乗って帰ろう」
玲子の住んでいるマンションも、僕の家のすぐ近くだった。
玲子のマンションの近くでタクシーを降りて、二人で歩いた。
「突然だけど、話を聞いてくれ」
「ええ、何の話し?」
「実を言うと僕は君が好きだ、結婚を考えてくれないか」
「・・・私には結婚は無理、子どもができない身体なの」
「僕は上司だから、君の健康診断の結果だって知っている。健康で何の病気もない」
「そうよ、健康だけど、わたしは女じゃない」
「何を言ってるんだ、君ほど美しい女性が女じゃないなんて」
「酔っている僕に、そんなことを言うなんて、僕が嫌いなんだね」
その夜は、このままで終わらせたくないと酔った勢いで彼女のマンションに上がりこんでしまった。 エレベーターを降りて、彼女の部屋に入った。
廊下を歩き、ドアを開けると広いリビングだった。そこで、彼女を抱きよせて、キスをした。彼女は眼を閉じて、僕に抱かれていた。
しばらく、そうしていたが彼女が、僕に話しかけてきた。
「あなたが、本当のわたしを知って、それでも私を愛してくれる?」
「ほんとうの君を、僕が愛さないはずはない」
「それじゃ、今夜、私を抱いてくれる、逃げ出さないでね」
「汗をかいたわ、シャワーさせてね、あなたもシャワーしない?」
「そうだね、僕は後でもいい、先に君がシャワーするといいよ」
「じゃあ、私が先にさせてもらうわ」
「いいよ、待ってるから」
彼女がバスルームに入りシャワーの音がしていた。
その後 バスルームのドアが開く音がして、濡れた髪を乾かすドライヤーの音が聞こえてきた。
僕がバスルームに近づくと、彼女はバスローブを着ていた。
「お待たせ、今から、あなたもシャワーするといいわ」
スーツもネクタイも外し、下着を脱いでバスルームに入った。
シャンプーやリンス、石鹸もきちんと並べられていて、彼女からタオルを手渡された。さっと身体を洗って、バスタオルを腰に巻きつけてリビングのソファーに座った。
冷たいお茶のはいったグラスが、近くに置かれていた。
ソファーには、パジャマが用意されていた。
誰のパジャマか?そう考えていると、後ろから声がした。
「パジャマは、父のものだから、サイズが少し大きいかも」
「ゆったりしてるのも、僕は好きだよ」
「もう少し待ってね、今から、支度をしてくるから」
彼女は自分の部屋に入り、化粧を直しているようだった。
リビングのテレビを見ながらも、気持は彼女とのセックスを期待してしていた。
《繁みに隠された秘密》
彼女との話の中で、彼女が結婚できないと言った言葉を思い出していた。
彼女が隠していることは何だろう、結婚歴があって妊娠中絶で子どもが産めなくなったというのか。それとも乳がんで乳房を切除したというのか、考え込んでいた。
化粧が終わったのかドアが開く音がして、彼女の声が聞こえてきた。
「寝室で待ってて」
彼女の部屋の中に入ると、セミダブルのベッドがあった。
「何か、飲み物を持ってくるわ」
部屋の明かりを少し暗くして、彼女が寝室に入ってきた。
着やせするタイプなのか、寝室で見る彼女は肉付きのいい白い肌、むっちりした太腿、豊かな二つの胸のふくらみがあった。

悩ましいピンクのベビードールを身に付けた彼女。
下半身には小さなショーツだけ、彼女の白い肌が目の前にあった。
エロチックな欲望がさらに、目の前にあった玲子の二つの胸のふくらみに注がれた。
衝動的に彼女にむしゃぶりつく、一匹のオスになろうとしていた。
彼女が差し出したグラスには、炭酸ソーダで割った甘いレモンのリキュールが入っていた。それを一気に飲みほすと、彼女を抱きよせた。
彼女をベッドに横たわらせ、その隣に滑り込んだ。
すぐに、がっつくような餓えた男のまねをしたくないので、彼女を抱きよせ、口づけをした。
長い口づけのあと、彼女の耳、うなじ、首筋から徐々に熱い息を吹きかけながら、唇で感じやすい部分にやさしく刺激を与えて続けた。
「アアー」と彼女の口から、かすかな声が漏れる。
それでも彼女は、じっと僕のするがままに身を任せていた。
じっくりと、豊満なバストへの愛撫を続けた、「アアー」と唇から洩れる彼女の声。
右手で彼女の乳房をわしづかみにして、反対側の乳首を僕の舌で舐めるようにして、時おり激しく吸いついてみたり、乳首をそっと噛んでみた。
「ああっ」 彼女がぼくの手を握りしめようとした。かなり敏感に感じているようだ。しばらくして、僕は彼女の下腹部に舌を這わせていた。

彼女の身につけているのは蝶をデザインしたレースのスキャンティ、白いその下着は僕の手で脱がされようとしていた。
スキャンティには割れ目があり、彼女の秘部に手を近付けた。
スキャンティの割れ目には、小指ほどの突起があった。その突起は、僕が触ると少し大きさを増した。
次第に柔らかだったその突起は堅くなり、親指ほどになった。
彼女の可愛い突起、指で触れると彼女はのけぞる。その先端から透明の液が滲みだしている。僕はその部分を見つめた。
「わかったでしょ」
「なんのこと?」
「わたしには貴方と同じものがあるの」
僕は彼女のその部分を口に含んでみた。
柔らかい突起はさらに堅さを増した。
「ダメッ、そんなことしないで」
「・・・」
「ああっ、ダメよ」
彼女がのけぞるのが分かった、その部分を口に含んでいたから、僕は声が出せなかった。
そして、彼女の突起を包んでいる柔らかな皮の部分を剥いた。するっと剥けた中から、亀頭とも呼べる部分が現れた。
小さいけれど、それはクリトリスではなく、僕のものと同じ男性器の形をしていた。
彼女の突起というか、亀頭部分を指先で刺激をしていると、彼女は強く感じているのか、両脚に力が入り、上半身を硬直させて、息を荒くしていた。僕はさらに刺激を続けた。
そして、絶頂を迎えたのか、彼女はのけぞり、彼女の秘芯を口で刺激してた僕の頭は、彼女の太ももに挟まれてしまった。
しばらく息を荒くしていた彼女は、余韻を楽しむかのように、それを邪魔する僕の手と顔を遠ざけた。
僕は妙に興奮していた、大きなバスト、美しい顔、なのに下半身には僕と同じものがある。少し小さいけれど、それがあるということは、彼女は男なのか、僕の指先と口唇の刺激で、逝ってしまった。
射精こそなかったが、透明の液体がにじみ出ていた。精液のような匂いはしない、僕は彼女のペニスを、フェラチオしていたことになるのか。
僕は位置を替え、身体を密着させるように彼女を抱きながら、さらに彼女のクリトリスのすぐ下で、しっとり濡れている部分があることに気がついた。
彼女の股間にある、その部分に指を入れてみた。少し強引に指を突き入れてしまった。
「だめよ、イタイから」
「ごめんね、でも、ここは、少しだけ僕の好きにさせてくれないか」
彼女に謝りながら、指先に神経を集中していた。
かなり深い、そう思った。その時、彼女がぼくを押しのけようとした。
「もう、やめて、わたしが女じゃないって分かったでしょ」
「そんなこと」
そう言っている間にも、彼女の強い抵抗にあって僕はベッドから落ちてしまった。 強くひじを打って、僕はうずくまりながら痛みに耐えていた。
「ごめんなさい、痛む?」
「うん、少し痛い。だけど、ひどいじゃないか」
「お詫びに、あなたが望むようなことしてあげる」
僕の下半身に手をかけ、彼女は僕のものを口に含みしゃぶり始めた。僕は、彼女の行為を受け入れていた。 次第に快感が増し、彼女の指先の動き、舌を絡め、舐め、深く彼女の口の中に含まれると、すぐにでも暴発してしまいそうだった。
しばらく、彼女のなすがままに任せていたが、彼女の身体を引き寄せ、あおむけになるように彼女をベッドに寝かせた。そっと口づけをして、彼女の耳元に囁いた。
「僕に君の処女をくれないか」
「何を言ってるの、わたしは女じゃないのよ」
「君が本当に女じゃないか、僕は確かめたいんだ」
それからしばらく、彼女の身体を愛撫して、彼女の股間が潤ってくるのを確かめた。僕の下半身もまた大きく堅くなり、それを受け入れてくれる場所を求めていた。
「ああっ、痛い」
「やさしくするから」
「無理よ、入らないわ」
「あまり痛むようなら、やめるから」
そうは言っても、僕は彼女のその部分に挿入を始めた。ぼくの硬直したものが、彼女からあふれ出てくる蜜のせいか、あまり抵抗感もなく、ゆっくりのつもりが、ぐいっと突き刺すように根もとまで入れてしまった。

「アアッ、・・・」
彼女は少し痛がっていたが、僕は腰を動かし、男性の本能というか、射精する快感を求めるオスになっていた。その瞬間は、すぐにやってきた。
彼女も僕の身体を抱きかかえるようにして、その時を迎えた。
「痛むかい?」
「気にしないで、あなたの好きなようにして」
「君の中で、こんなに感じている」
「・・・・」
「逝きそうだ、すごくいい」
「いきそうなの?」
「ああー、もう逝くよ」
「いいわ、逝ってね」
彼女の中で僕は果てた。
もし、彼女に子宮があって妊娠したらと心配したが、僕は彼女をベッドに寝かせて、男と女として官能の求めるまま、愛の営みを続けた。彼女も何度か登りつめていたように思えるが、射精している様子はなかった。
差しこむ光で目が覚めた。窓の外は夜が明けていた。
いつもと違う部屋の気配、しばらくして彼女の部屋だと気付いた。
エプロン姿の彼女から、「朝食にしましょう」と声をかけられた。
「ごめんね、昨日はどうかしてた、ごめんね」
「いいのよ、そのつもりで貴方を誘ったんだから」
「痛かった?僕が無理にしたから」
「そんなことないわ、というか少しはね」
「痛い思いをさせてごめんね、僕だけが楽しんだみたいで」
「実は、わたしも感じてたのよ」
彼女が感じて、絶頂に達したことは分かっていたが、彼女の口から聞いてみたくなった。
「どっちで?」
「馬鹿ね、あなたがわたしの中に入っていた時」
「じゃあ、ペニクリ、そっちじゃなかったんだね」
「もー、からかわないで」
彼女の機嫌を取るように、昨夜の営みについて感じたことを話した。
「昨日は、ホント、素敵だったよ、君はとっても素敵だった」
「ありがとう、でも、私にあんなものがあって、ごめんなさい」
「君が謝ることはないよ、自然のいたずらとしか思えない」
「また、わたしを女として抱いてくれる?」
僕は少し考えてから返事した。
彼女が、男なのか女なのか、両方かもしれない。昨夜、僕は彼女を女として愛した。
小さな彼女の突起は刺激すると、それだけでも彼女は逝けそうだったが。
でも、目の前にいる彼女は僕を受け入れ、女として性の喜びを共にした。
今の僕にとっては、彼女は普通の女性にしか見えない。
朝食のあと、僕はあることを約束して彼女の部屋から帰った。
《第2章》 彼女を女にするために
コロナ禍で、会社の機構改革があり、輸出事業部からIT戦略室長への人事異動があった。僕は残業の多い職場だったが、玲子は、定時で帰れる海外事業部に残ることになった。
「もうそろそろ終わりにするか」
周囲の部下に声をかけた、みんな、疲れたような顔をしている。
週末だというのに、飲み行く元気もない、そんな雰囲気だった。
「じゃあ、お先に!!」
「次長、なんだか元気そうですね」
「まあな、ちょっと、いいことがあるんだ」
いつもの10時過ぎの電車を降りると、改札を出た。小雨が降っている駅前のタクシー乗り場を通り過ぎたところに、車は止まっていた。ウインカーが点滅している車の窓が開いて、玲子の声がした。
「お帰りなさい」
今夜から、彼女との約束通り、僕は彼女と休日を過ごすのだ。
彼女のマンションのエレベーターの中で、玲子を抱き寄せて唇を奪った。
彼女に密着した下半身には、硬直した僕のものが存在感を示していた。
彼女の部屋についてから、用意されていた夕食のあと、僕は風呂に入った。十分温まった身体を拭き、ソファーに座り、彼女から渡されたビールを飲んだ。
「ねぇ、こっちに来て」
「えっ、なにか言った?」
「女に恥ずかしいことを何度も言わさないで」
彼女の待っている寝室に入った。
ベッドに薄いピンクの下着姿で彼女は待っていた。

「もういいのかい?」
ささやくように声をかけ、黙ってる彼女の手をとった。
「今夜も、ステキだよ、はじめてもいいのかい」
「ええ、オネガイ」
そう答えると、彼女はやさしく肩に手を回してきた。
彼女の身体を抱き寄せて、豊かなバストを最初の標的にした。乳房を薄いスリップからはみ出させると、いよいよ玲子とのプレイの始まりだ。
彼女の乳首の周囲をなめまわし、さらに乳首を舌の先で刺激すると、彼女は感じるのか、声を上げていた。
「アアーン、そこ感じやすいの」
「感じやすいなら、もっと感じてごらん」

玲子の乳房に吸い付き、乳首を舌の先で転がすようにした。片方の手で、反対側の乳房をやさしく揉み、今度はその乳房に吸い付き、舐めまわした。
彼女の胸に顔をうずめながら、空いている手で太股を撫で回した。さらに彼女の股間に手を当てて、ある部分を探し出し、その部分をやさしく触れるか触れない程度に刺激する。

透けるようなショーツの中、そこに手を潜り込ませて、指先で微妙に刺激すると、みるみるうちに、彼女のモノが親指ぐらいに大きく硬くなっていくのが分かる。
「アアーン、ダメよ」
「ダメなら、やめようか」
「イヤッ、続けて、オネガイ!」
食いついてきそうな、彼女のあの部分から指を離した。
「意地悪!」
「どうしてほしい?」
「分かってるくせに」
「ほら、こんな風にすると感じる?」
「ああっ、オネガイ!、続けて」
「いいのかい、ほら・・・」
「アァーン、素敵、あっ、いいっ!」
彼女のショーツを取り去ると、彼女の男性自身というか、尖っているあの部分を口に含んだ。
「ああっ、ああ、ダメよ」
「ああ、逝くわ、いっちゃう」
強弱をつけながら、舌の先で刺激を続けた。
舌の動きを早めたら、彼女は身体を固くして、のけぞり絶頂に達した。
ここまでは、彼女を女として開花させるためのプロセスに過ぎない。彼女に女としての悦びをを与えるだけでなく、彼女の女性である部分に挿入する。そこから、雄の本能として、メスの子宮に精を注ぎ込み、官能の悦びを味わうのだ。
彼女の持つ小さな男性器官で味わう喜びよりも、彼女が男を受け入れるあの部分でこそ、彼女が女として官能の悦びを経験し、女になる悦びを与えてやりたい。
それから、しばらくして私は彼女の主治医からの話を聞くということで、大学病院に同行することになった。その外来は、かなり混み合っていた、彼女の診察の順番が来て、第4診察室に入った。
《息子から娘に》
50過ぎの主治医から、これまでの治療の経過を説明された。
その説明を要約すると、彼女は生後すぐに「男」として誕生した。
しかし、それはあくまでも両親の希望に沿うもので、実は彼女は「半陰陽」だったというのだ。
両親は、息子として育てたいと希望した。
両親のもとで彼女は、男として育てられて思春期を迎えた。
実際、成長するにつれて、中学性になる頃には、乳房が膨らみ、彼女は女性化し始めた。幸いなことに、まだ、声変わりもしていなかった。
詳しく検査をしたところ、小さくて包皮に包まれている外性器は、陰核のようであった。しかし、睾丸は委縮しており、子宮の奥には卵巣も完全な形で存在していた。
彼女が高校に入る直前、主治医は、彼女に女性としての人生を選択することを勧めていた。両親も同意の上で、機能を喪失した睾丸の手術を受けて性別の変更を行い、女子校に進学した。

家族は、神戸に引っ越した。彼女のことを知らない地域で、女子校に通学させるためだった。 最初は、セーラー服を着ることには、抵抗があった。下着も、ショーツ、胸にはブラジャー、スリップを着て登校する事に、とても恥ずかしさを感じていた。学校も休みがちだった。
そんなある日、大きな地震が神戸を襲った。彼女の家も倒壊した。助け出されたのは、彼女だけだった。その後、伯父に引き取られ、イギリスで暮すことになった。イギリスで、少しずつ生活することに慣れて、女性として成人していった。
婦人科の医師から、成長するにつれて、性別を明確にするために手術が必要になるだろうと、伯父夫婦は言われていた。
主治医は、外性器の手術を受けて、外見も「女性になる」という選択を彼女に提案した。
子宮や卵巣の機能は女性ホルモンの働きで、大人の女性として成長していくだろう、しかし、子どもが産める可能性は低いと伝えていた。
彼女は、学生時代ずっと子宮や卵巣の発育が遅れていた。男性と性交渉をするうえで支障となることを心配して、主治医は外見も「女性になる」という選択を、何度か両親に提案した。結局、手術を受ける前に両親が震災で亡くなってしまった。
もう少し女性ホルモンが多く分泌されるようになれば、大人の女性に近づいていくことが予想された。主治医は、高校生の女の子に、男性と性交渉をすることで、さらに女性ホルモンが分泌されて、子どもが産める可能性があると伝えるのをためらい、そのままになっていた。
20歳過ぎるころから、彼女は「月経」が始まった。女性として生理を経験するようになっていた。 今日の検査で、彼女の身体は大人の女性へと変化していることが確認された。主治医からは、見た目も陰核(クリトリス)程度に、外性器の手術をすべきだと伝えられた。
「でも、私がその手術をしたからといって、何も変らない」と彼女から言葉が出た。
「君は、僕の妻になればいい」
「子どもだって、産めないかもしれないのよ」
その彼女の言葉を遮るように、僕が話した。
「君と結婚したい、子どもができたら僕が父親になるから」
彼女にそう告げて、彼女の手を握った。
彼女は女性として抱かれることで、より一層、女性に成長していく。
それから僕は毎晩のように彼女を抱いた。
彼女の身体はしっかりと僕を受け入れ、反応し、熱い息を吐き、全身が性感帯のようになって、絶頂を迎えていた。
1か月後、夏の暑い日差しの中、二人で大学病院を訪れた。
先に検査があって、診察室に呼ばれた。
「おめでとうございます」
主治医から、彼女が妊娠していると伝えられた。
「奥さんは、妊娠されています。非常に珍しい事ですが、半陰陽の方は妊娠しにくいというか、卵巣の機能が退化してしまっているか、正常に機能しない方がほとんどなんです」
主治医からはそう告げられた。
「当病院で出産の申し込みをしてください」
「ただし、外性器の手術は、出産後にしましょう」
できることなら、彼女のペニスを残しておきたい。
でも母親になる彼女に、僕からはそれは言い出せなかった。
彼女と病院の入院係で手続きをしていると、急に気分が悪くなったのか、彼女が吐き気を催した。
しばらくして、戻ってきた彼女がうれしそうにしていた。
「たぶん、つわりだと思うわ」
「じゃあ、これからは毎晩できないね」
「だいじょうぶよ、あなたの好きなこと、してあげるわ」
その夜から、僕は彼女の手と口唇による愛撫で、男性の悦びを感じることになった。
それと、つわりが少し収まってから、すぐに結婚式を挙げた。

ウェディングドレスを着ていても、お腹が目立つようなこともなく、式は終った。戸籍は、子どもの頃に女性に変更されていたので、入籍も無事に済ますことができた。
「仕事を続けたい」という彼女の希望を受け容れて、負担の少ない業務に配置換えをした。職場では、離れて働くことになったが、帰宅してからは彼女と夫婦の時間をしっかり持つようになった。
特に夜の営みでは、あと半年ほどで無くなってしまう彼女のペニスを丁寧に愛した。口に含み、彼女が感じていることを確かめながら、ソフトな刺激を続けた。

最後には、必ず彼女は絶頂に達した。
「アアーン、逝っちゃう」
「いいよ、玲子、逝ってもいいよ」
「逝くっ、アアッ」
荒い息づかいと共に、彼女の声を聞くのを、楽しみにしている僕だった。
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