尾道という街は、古くから瀬戸内海の港町として栄えたところでした。現在は、港町と言うよりも瀬戸大橋(尾道・今治ルート)のサイクリングターミナルとして利用する方が多いようです。
【目次】 尾道タイムスリップ(私は女装妻)
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尾道タイムスリップ【1】
《第1章》広島への旅立ち 《第2章》尾道への散歩
尾道タイムスリップ【2】
《第3章》姫の身代わり 《第4章》菊の蕾に欲情して
尾道タイムスリップ【3】
《第5章》二人の新しい旅立ち
第1章 広島への旅立ち
大阪から車で3時間、高速道路を降りて、国道2号線を尾道の方向に向かいます。福山城のすぐ近くを通り、途中から県道に入り約20分。青い海が見える景色に変わりました。
瀬戸内の海はとても穏やかで、日が沈むころ、きらきらと輝きながら静かに日が暮れていきます。 「もうすぐだよ」 鞆の浦が近づくあたりから、家並みが続きます。大きな木が目印、門構えのある立派なお家でした。
彼の実家は江戸時代から続く旧家なのです。駐車場に車を止め、彼の後ろに従うように石造りの立派な門をくぐりました。

門の中に入ると広い庭があり、なぜか見覚えのある景色に見とれていました。白い鉄筋の建物の玄関に向かって歩きながら、すぐ隣にある木造の建物を見たときにも、なぜか懐かしく感じたのです。
「その建物は、江戸時代から診療所として使われていた昔の母屋なんだ。」
「古い建物だけど、立派なつくりね」
家の中に入る前に、庭の風景を見ていると、やはり、以前いつか来たことがあるような、 そんな気がするのでした。 家の中は彼のおばさんが掃除してくれていたので、とても綺麗に片付いていました。
居間の座卓の上には、メモがありました。
「お帰りなさい。ポットにお湯が入っています」
仏壇の前に並んで座り、ろうそくに火をつけて、お線香をあげていると、彼と私はまるで夫婦みたいだなと思いました。
彼の父が亡くなり、大阪にいた一人息子の彼が故郷に帰り、父が営んでいた診療所の仕事を継ぐことになったのでした。親族一同も彼が跡をついでくれるようにと、何度も彼を説得したのでした。
そういう経過の中で、薬剤師だった私は彼のために看護士の資格を取り、彼の診療所で役に立てるように、病院勤務の経験をした。そして、開業の準備をするために広島県の東部、福山市に来て、二人の新しい生活を始めることになった。
「さあ、明日は荷物の整理があるから、今夜は早く風呂にはいって寝よう」
「そうね、もう疲れたものね。やっぱり広島って遠かったわね」
彼が先にお風呂に入り、続いて私がお風呂に入り、お湯から上がった頃には、エアコンが程よく効いた温かい8畳の和室に、二組並べられた布団の一つで、彼はいびきをかきながら寝ていました。
《半陰陽”ふたなり”の私を愛して》
今夜は、もうエッチはしないのかな。
そう思いながらも、エアコンをタイマーにして、ネグリジェで真新しい布団に入りました。

彼は佐藤浩一郎36歳、私は江崎忍(しのぶ)27歳、二人が愛し合うようになってから、6年が経っています。なのに、入籍して、結婚することが出来ないのです。
親族に反対されているのではなく、私が女ではない、俗にいう「ふたなり」で、女装者だということです。
夜中にふと息苦しさをおぼえました。目を開けると彼が、わたしのネグリジェの胸の部分をずらし、豊かな乳房をあらわにしています。
高校生ごろからバストが膨らみ、体育の授業が嫌で、夏の水泳はすべて休んだ。揺れるバストで悩み、大学は女学生が多く、夏でも白衣が着れる薬学部に進学した。
声変わりもなく、女の子のような声、しのぶと言う女の子のような名前が幸いして、大学は女装して通った。女装して過ごすようになってからは、自慢のバストだった。
彼が、ふっくらとした私の左の乳房をもみながら、右の乳首のまわりを舌で舐めまわしているのです。目が覚めるのにしたがって、それはただの感覚から、快感に変わり、わたしの手はシーツを握り締めるようにつかんでいました。
「アアーン、寝たのじゃなかったの?」
「疲れているときほど、欲しくなるんだよ」
「今夜はだめよ、危ない日なのよ」
「えっ、何が危ないの?」
「赤ちゃんができるかもしれないわよ」
「えっ、まさか、そんなことはないだろ」
「大学病院で検査を受けたでしょ、時々お腹が痛くなって」
「婦人科の検査のことかい?」
「そう、お腹が痛くなって、しばらくして出血があったから」
「月経というか、生理だと思ったんだね」
「検査の結果が、もうすぐ送られてくると思うの」
「まあ、女性になりたい君の希望は分かるけど」
「生理じゃないって言いたいのね」
「まあ、想像妊娠ぐらいならできるかもしれないね」
「イヤーン、いじわる。できないと思っているのね」
「いいよ、赤ちゃんができたら二人で育てよう」
「生んでもいいの?本当?」
まるで普通の男女というか、夫婦のような会話ですが、これも二人のムードを高めるための、前技なのです。彼は、しのぶの豊かなおっぱいのふくらみに、欲情して、ネグリジェをめくりあげ乳房を揉み、乳首を吸うのです。
「アア~ン」
思わず声が、漏れてしまいます。彼からの口唇による愛撫が、胸、脇腹、おへそ、と続き、しのぶは押しよせる快感の波に、身を任せていました。
「こんなに立派なおっぱいがあるんだから」
「赤ちゃんも育てられるわ、パパも育児を手伝ってね」
「だから、今夜はゴムなしで、中で逝ってもいいかい?」
「いいわ、あなたの好きなようにして」
「危ない日じゃないのか」
「今夜は・・・いいの」
パンティーのふちにそって、ざらざらした舌が触れて、太ももから股の付け根部分に近づくと、しのぶの下半身では、エレクトした親指ほどのものがパンティーの中で、固くなっていました。
しのぶが彼の下半身に手を触れると、彼の雄器官も猛り狂ったように怒張し、ブリーフの中で存在感を示していました。
「ねえ、あなたのを、お口でアレさせて、オネガイ」
「もういいのかい、もっと”しのぶ”を感じさせてみたかったのに」
「まだ、いやぁよ。少し腰を上げてね」
彼のブリーフを脱がせると、亀頭の先端は我慢汁で濡れて、光っているようでした。しのぶが手を添えて、やさしく両手で包み込むようにしながら、唇をひらき彼のものをくわえ込むと、「ああ、いいよ」と彼が声をあげ、一瞬、腰がぴくんと反応したのです。
太い肉柱の下の袋部分をやさしく撫で上げるようにしながら、口の中のものをさらに奥深く飲み込むと、彼もさらに、感じているようでした。
《イメージプレイは、姫と家来のように》
ピチャピチャという音、彼のあえぎ声、私のくぐもった声が部屋の中に響いていました。しばらくして、彼がわたしの手をにぎり、抱き寄せて、仰向けにすると白いパンティーを両手で引き下ろし、足首の位置まで脱がせるのでした。
彼の目の前に、小指よりも少し大きい程度のものが顔を出した、わたしの硬直したものを今度は彼が咥えはじめたのです。いつものことですが、その刺激にたまらなく反応して、よがり声を上げながら、腰を彼の刺激に合わせるように動かしていました。
「もうだめっ、そこまでにして。おねがい」
「もういいのかい、もっと楽しめばいいのに」
「もう、十分なの。今度はあなたが欲しいの」
「それじゃあ、姫、あの部分を、浩一郎めに、さしだされませ」
「あなたのお望みは・・・どちらなのかしら?」
「前でも、うしろでも、今夜は両方では?」
「浩一郎さま、先に後ろをお可愛がりくださいまし」

今夜は、姫と家来のような雰囲気で楽しむのでした。しのぶの菊形の穴の部分に怒張を差込み、覆いかぶさるように腰を使う浩一郎。そして、合体した後の二人はひたすら感じるままに、互いを求め合い、腰を突き動かし、喜悦の声を上げていました。
「浩一郎さま、もっと、もっとお突きくださいまし」
「しのぶ姫、いかがですか?」
「アアーン、ダメッ、いいの、あたってる」
「姫っ!、締め付けが、たまりません」
「ううーん、ああ、もう、もうだめっ、いいい・・」
その時、浩一郎は、腰の動きを止めた。浩一郎は、しのぶの身体を仰向けにして、折り曲げるようにして、しのぶの両足を高くささえていた。
しのぶの前の穴の部分に怒張を差込み、覆いかぶさるようにして腰を使い始めた。生まれつき半陰陽のしのぶには、女性のように、大陰唇も膣もある。
「しのぶ姫、ほれ、このようにしてはいかがですか?」
「ああ、いい、こっちのほうが・・・」
二人ははじめとは違って、しのぶは上を向き、その両足を浩一郎が肩に上げている。浩一郎は、しのぶの小さく勃起しているもののすぐ下にある、濡れそぼっている部分に、自分の怒張を差し込んでいる。普通に男女が抱き合い、男が覆いかぶさるようにして腰を使っている。
「ああ、いいの、いって、いって、あああ」
「おお、いきそうです、ああ、いきます」
二人は、向かい合い、しのぶは上を向き、両足を広げている。浩一郎はしのぶの脚の間に身体を入れて、正上位でしのぶと結ばれている。
男と男であれば、後ろの菊形の穴の部分に怒張を差込むしかないが、しのぶは前の部分に柔らかな肉のひだと膣があり、透明な密が浩一郎の性器の侵入をスムーズにしている。
そして、その時が来た。
「ううーん、ああ、もう、もうだめっ、いいい・・」
「浩一郎も、もうすぐ、参ります、ああ、いきますぞ」
「アアーン、いいの、いくわ」
「おおっ、ああ、いくーっ」
しのぶは、もう、何も身に着けてはいない、すべてを露わにしている、浩一郎も全裸で横たわり、まだまだ熱い吐息が二人の口から洩れていました。
静かな瀬戸内の海辺にある彼の家では、沖を走る船のエンジンの音が時折かすかに聞こえるぐらいです。普通では考えられないようなカップル、浩一郎としのぶの二人の生活は、まだ始まったばかりでした。
二人が予想もしないものが今はまだ、月明かりに照らされた蔵の中で眠っていました。
第2章 尾道の散歩
大阪から届いた荷物が蔵の中にあり、それを母屋に運んだり、整理したりしました。おおかた運び終わり、片付けたときに古い小さな仏壇があり、浩一郎がそれを庭に運び出しました。
途中でバランスを崩して、仏壇の引き出しが外れて中から木箱が落ちました。漆塗りの文箱のような物でしたが、そこには戒名が書かれた札と巻物がありました。
「これはなんだろう、かなり昔の記録の書かな?」
「古いものね、大丈夫?破れそうね」
「もう少し片付けてから、後のお楽しみということにしよう」
「じゃあ、わたしはお茶のしたくをするわ」
その古い文書が何なのか、というよりも近所への挨拶や、役所への手続きに追われて、いつの間にか忘れていました。
しばらく数日間は、新しい土地での生活でもあり、ご近所の方や親戚に挨拶してまわりました。 親戚の人たちには、私しのぶが女装していることを隠すために神経を使い、夜は疲れてただ寝るだけの状態でした。
浩一郎は、布団に入った後、何かを読んでいるようでした。
「ねえ、何を見ているの?」
「この前の、巻物と札」
「ふーん、その札を見せて」
「これかい、ほらね」
「法泉院釈志野居士、でも裏に、志乃姫と書いてあるわ」
「普通は居士という戒名は男性なのに、志乃姫なんて」
「おかしいわね」
「こっちは、義泉院釈弘貴居士、と書いてあるんだ」
「巻物は読めたの?」
「それが、長い話が記録のように書いてあるんだ」
「わたし、古文書とか興味があるの。書道の先生にいろいろ教えてもらったのよ」
「エッチもかい?」
「もう、いやね。そんなことあるわけないでしょ」
「じゃ、僕が先生になって、いろいろ教えてあげよう」
「夜は、エッチだけでも・・・、いいのよ」
「じゃあ、今夜は僕のために・・・、パジャマから着替えて、なあ、いいだろう?」
「いいわよ、あなたの好きな、黒い下着にするわ」
リモコンで部屋の明かりを消して、窓から差し込んでくる月の光の中で、二人の愛撫が始まりました。
今は女性のように長く伸ばした髪、パールピンクのマニキュアをした指、白い肌と対照的な黒いスリップとTバックのパンティーを身につけていた。
浩一郎はしのぶを抱き寄せると、スリップのストラップを肩からはずし、赤ちゃんのように乳首を吸うのです。
「ああー」と、しのぶが声をあげるのを楽しむように、
しのぶの乳房を揉み、乳首を吸い、愛撫が繰り返された。
「ねえ、今夜は先におっぱいさせて」と言う、しのぶ。
「いいよ、前技はいらないのかい」
「なんか、きゅっとあなたのことを愛してみたくなったの」
『おっぱい』と二人が呼んでいるのは、しのぶの豊かなバストで、浩一郎の雄器官を挟むように刺激して、さらに硬くなった乳首で亀頭の先や根元を刺激することを指していた。
もちろん邪魔になるブラジャーを、今夜はつけていない、胸の谷間をつかい、浩一郎の怒張し始めたものを、しのぶはこすりあげるようにした。
「ああっ、いい、いいよ」
「感じてる?・・・もっと感じてね」
「ああー、しのぶ、いきそうだよ」
「まだ、だめよ、ちょっと、まってね」
そういい終わると、しのぶは浩一郎の上にまたがり、小さく勃起した彼女の性器の下部にある、女性器の部分に太い肉柱を体内に受け入れた。お互いに感じれるように、腰を使い、熱くなった二人は汗を流し、喜悦の声をあげていた。
夜も8時を過ぎると、人通りがなくなるので、都会での生活と違い夜は長いのです。まだ8時過ぎだというのに、庭先からは二人の熱いあえぎ声がかすかに聞こえるほど、静かな夜でした。
《阿伏兎観音から尾道へ》
土曜日の朝は、快晴の天気、車で近くにある、阿伏兎観音にお参りに行きました。海岸の高い崖の上にある、朱塗りのお堂が特徴的な光景でした。
階段を上がり、観音様の朱塗りのお堂にあがると、瀬戸内の景色がよく見えます。

その観音さまは、安産祈願の女性の参拝者も多いのです。
二つの乳房の形をした願かけの品が、いたるところに掛けられているのです。
無理だとわかっていても、赤ちゃんが欲しいと、しのぶは、願をかけるの”でした。
そのあとで、しのぶの手作りのお弁当やお花をもって、尾道にある浩一郎の本家の墓地に行くことにしました。
そこは、JR尾道駅から1キロほど、西の山側にある寺でした、初心者の車なら、とても入れないような道を、上がりきったところにお寺がありました。

「ここは、大林監督の映画さびしんぼうに使われた寺なんだ」
「すごく見晴らしがいいのね。遠くの島もいっぱい見えるわ」
「ここは眺めがとてもいいので、僕も好きな場所なんだ」
しばらく見とれていたわたしは、なぜだか懐かしい気持ちになった。尾道がそんな気持ちにさせる町だからなのか、遠い昔に見た景色のような、不思議な気持ちでした。
本堂の横を通り、緩やかな坂道を上がると墓地があり、墓石が斜面にたくさん並んでいました。

「こっちだよ、ここに本家の墓が並んでる」
「いくつも、お墓が並んでいるのね、かなり古いお墓もあるわ」
「古いのは、江戸時代のものだからね」
「あれっ、ここの墓石の裏には、志乃姫って書いてあるわ」
「うん、そこも本家の墓石なんだ、お墓を作った人の名前かもしれない」
「あの古いお札の人ね、でも戒名は居士って彫られているわ。男の人のお墓ね」
「うん、そうだね。これまで何度かここに来たけど、後ろには気が付かなかった」
「あの巻物はもう読んだの」
「うん、大体はね」
「どんな話か聞かせてくれる?」
そういい終わるか終わらないうちに、しのぶは足もとの段差につまずき転倒してしまった。倒れたときに頭を強く打ち、目の前が真っ暗になり、しのぶは意識を失ってしまった。
小さな渦を巻くような風が、しのぶの身体を吹き抜けていった。その時、タイムスリップが起こり、しのぶは時間の渦の中を漂っていた。倒れている自分の身体から抜け出し、異次元に吸い込まれるような感覚を感じていた。
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尾道タイムスリップ【2】
《第3章》姫の身代わり 《第4章》菊の蕾に欲情して
尾道タイムスリップ【3】
《第5章》二人の新しい旅立ち
第1章 広島への旅立ち
大阪から車で3時間、高速道路を降りて、国道2号線を尾道の方向に向かいます。福山城のすぐ近くを通り、途中から県道に入り約20分。青い海が見える景色に変わりました。

瀬戸内の海はとても穏やかで、日が沈むころ、きらきらと輝きながら静かに日が暮れていきます。 「もうすぐだよ」 鞆の浦が近づくあたりから、家並みが続きます。大きな木が目印、門構えのある立派なお家でした。
彼の実家は江戸時代から続く旧家なのです。駐車場に車を止め、彼の後ろに従うように石造りの立派な門をくぐりました。

門の中に入ると広い庭があり、なぜか見覚えのある景色に見とれていました。白い鉄筋の建物の玄関に向かって歩きながら、すぐ隣にある木造の建物を見たときにも、なぜか懐かしく感じたのです。
「その建物は、江戸時代から診療所として使われていた昔の母屋なんだ。」
「古い建物だけど、立派なつくりね」
家の中に入る前に、庭の風景を見ていると、やはり、以前いつか来たことがあるような、 そんな気がするのでした。 家の中は彼のおばさんが掃除してくれていたので、とても綺麗に片付いていました。
居間の座卓の上には、メモがありました。
「お帰りなさい。ポットにお湯が入っています」
仏壇の前に並んで座り、ろうそくに火をつけて、お線香をあげていると、彼と私はまるで夫婦みたいだなと思いました。
彼の父が亡くなり、大阪にいた一人息子の彼が故郷に帰り、父が営んでいた診療所の仕事を継ぐことになったのでした。親族一同も彼が跡をついでくれるようにと、何度も彼を説得したのでした。
そういう経過の中で、薬剤師だった私は彼のために看護士の資格を取り、彼の診療所で役に立てるように、病院勤務の経験をした。そして、開業の準備をするために広島県の東部、福山市に来て、二人の新しい生活を始めることになった。
「さあ、明日は荷物の整理があるから、今夜は早く風呂にはいって寝よう」
「そうね、もう疲れたものね。やっぱり広島って遠かったわね」
彼が先にお風呂に入り、続いて私がお風呂に入り、お湯から上がった頃には、エアコンが程よく効いた温かい8畳の和室に、二組並べられた布団の一つで、彼はいびきをかきながら寝ていました。
《半陰陽”ふたなり”の私を愛して》
今夜は、もうエッチはしないのかな。
そう思いながらも、エアコンをタイマーにして、ネグリジェで真新しい布団に入りました。

彼は佐藤浩一郎36歳、私は江崎忍(しのぶ)27歳、二人が愛し合うようになってから、6年が経っています。なのに、入籍して、結婚することが出来ないのです。
親族に反対されているのではなく、私が女ではない、俗にいう「ふたなり」で、女装者だということです。
夜中にふと息苦しさをおぼえました。目を開けると彼が、わたしのネグリジェの胸の部分をずらし、豊かな乳房をあらわにしています。
高校生ごろからバストが膨らみ、体育の授業が嫌で、夏の水泳はすべて休んだ。揺れるバストで悩み、大学は女学生が多く、夏でも白衣が着れる薬学部に進学した。
声変わりもなく、女の子のような声、しのぶと言う女の子のような名前が幸いして、大学は女装して通った。女装して過ごすようになってからは、自慢のバストだった。
彼が、ふっくらとした私の左の乳房をもみながら、右の乳首のまわりを舌で舐めまわしているのです。目が覚めるのにしたがって、それはただの感覚から、快感に変わり、わたしの手はシーツを握り締めるようにつかんでいました。
「アアーン、寝たのじゃなかったの?」
「疲れているときほど、欲しくなるんだよ」
「今夜はだめよ、危ない日なのよ」
「えっ、何が危ないの?」
「赤ちゃんができるかもしれないわよ」
「えっ、まさか、そんなことはないだろ」
「大学病院で検査を受けたでしょ、時々お腹が痛くなって」
「婦人科の検査のことかい?」
「そう、お腹が痛くなって、しばらくして出血があったから」
「月経というか、生理だと思ったんだね」
「検査の結果が、もうすぐ送られてくると思うの」
「まあ、女性になりたい君の希望は分かるけど」
「生理じゃないって言いたいのね」
「まあ、想像妊娠ぐらいならできるかもしれないね」
「イヤーン、いじわる。できないと思っているのね」
「いいよ、赤ちゃんができたら二人で育てよう」
「生んでもいいの?本当?」
まるで普通の男女というか、夫婦のような会話ですが、これも二人のムードを高めるための、前技なのです。彼は、しのぶの豊かなおっぱいのふくらみに、欲情して、ネグリジェをめくりあげ乳房を揉み、乳首を吸うのです。
「アア~ン」
思わず声が、漏れてしまいます。彼からの口唇による愛撫が、胸、脇腹、おへそ、と続き、しのぶは押しよせる快感の波に、身を任せていました。
「こんなに立派なおっぱいがあるんだから」
「赤ちゃんも育てられるわ、パパも育児を手伝ってね」
「だから、今夜はゴムなしで、中で逝ってもいいかい?」
「いいわ、あなたの好きなようにして」
「危ない日じゃないのか」
「今夜は・・・いいの」
パンティーのふちにそって、ざらざらした舌が触れて、太ももから股の付け根部分に近づくと、しのぶの下半身では、エレクトした親指ほどのものがパンティーの中で、固くなっていました。
しのぶが彼の下半身に手を触れると、彼の雄器官も猛り狂ったように怒張し、ブリーフの中で存在感を示していました。
「ねえ、あなたのを、お口でアレさせて、オネガイ」
「もういいのかい、もっと”しのぶ”を感じさせてみたかったのに」
「まだ、いやぁよ。少し腰を上げてね」
彼のブリーフを脱がせると、亀頭の先端は我慢汁で濡れて、光っているようでした。しのぶが手を添えて、やさしく両手で包み込むようにしながら、唇をひらき彼のものをくわえ込むと、「ああ、いいよ」と彼が声をあげ、一瞬、腰がぴくんと反応したのです。
太い肉柱の下の袋部分をやさしく撫で上げるようにしながら、口の中のものをさらに奥深く飲み込むと、彼もさらに、感じているようでした。
《イメージプレイは、姫と家来のように》
ピチャピチャという音、彼のあえぎ声、私のくぐもった声が部屋の中に響いていました。しばらくして、彼がわたしの手をにぎり、抱き寄せて、仰向けにすると白いパンティーを両手で引き下ろし、足首の位置まで脱がせるのでした。
彼の目の前に、小指よりも少し大きい程度のものが顔を出した、わたしの硬直したものを今度は彼が咥えはじめたのです。いつものことですが、その刺激にたまらなく反応して、よがり声を上げながら、腰を彼の刺激に合わせるように動かしていました。
「もうだめっ、そこまでにして。おねがい」
「もういいのかい、もっと楽しめばいいのに」
「もう、十分なの。今度はあなたが欲しいの」
「それじゃあ、姫、あの部分を、浩一郎めに、さしだされませ」
「あなたのお望みは・・・どちらなのかしら?」
「前でも、うしろでも、今夜は両方では?」
「浩一郎さま、先に後ろをお可愛がりくださいまし」

今夜は、姫と家来のような雰囲気で楽しむのでした。しのぶの菊形の穴の部分に怒張を差込み、覆いかぶさるように腰を使う浩一郎。そして、合体した後の二人はひたすら感じるままに、互いを求め合い、腰を突き動かし、喜悦の声を上げていました。
「浩一郎さま、もっと、もっとお突きくださいまし」
「しのぶ姫、いかがですか?」
「アアーン、ダメッ、いいの、あたってる」
「姫っ!、締め付けが、たまりません」
「ううーん、ああ、もう、もうだめっ、いいい・・」
その時、浩一郎は、腰の動きを止めた。浩一郎は、しのぶの身体を仰向けにして、折り曲げるようにして、しのぶの両足を高くささえていた。
しのぶの前の穴の部分に怒張を差込み、覆いかぶさるようにして腰を使い始めた。生まれつき半陰陽のしのぶには、女性のように、大陰唇も膣もある。
「しのぶ姫、ほれ、このようにしてはいかがですか?」
「ああ、いい、こっちのほうが・・・」
二人ははじめとは違って、しのぶは上を向き、その両足を浩一郎が肩に上げている。浩一郎は、しのぶの小さく勃起しているもののすぐ下にある、濡れそぼっている部分に、自分の怒張を差し込んでいる。普通に男女が抱き合い、男が覆いかぶさるようにして腰を使っている。
「ああ、いいの、いって、いって、あああ」
「おお、いきそうです、ああ、いきます」
二人は、向かい合い、しのぶは上を向き、両足を広げている。浩一郎はしのぶの脚の間に身体を入れて、正上位でしのぶと結ばれている。
男と男であれば、後ろの菊形の穴の部分に怒張を差込むしかないが、しのぶは前の部分に柔らかな肉のひだと膣があり、透明な密が浩一郎の性器の侵入をスムーズにしている。
そして、その時が来た。
「ううーん、ああ、もう、もうだめっ、いいい・・」
「浩一郎も、もうすぐ、参ります、ああ、いきますぞ」
「アアーン、いいの、いくわ」
「おおっ、ああ、いくーっ」
しのぶは、もう、何も身に着けてはいない、すべてを露わにしている、浩一郎も全裸で横たわり、まだまだ熱い吐息が二人の口から洩れていました。
静かな瀬戸内の海辺にある彼の家では、沖を走る船のエンジンの音が時折かすかに聞こえるぐらいです。普通では考えられないようなカップル、浩一郎としのぶの二人の生活は、まだ始まったばかりでした。
二人が予想もしないものが今はまだ、月明かりに照らされた蔵の中で眠っていました。
第2章 尾道の散歩
大阪から届いた荷物が蔵の中にあり、それを母屋に運んだり、整理したりしました。おおかた運び終わり、片付けたときに古い小さな仏壇があり、浩一郎がそれを庭に運び出しました。
途中でバランスを崩して、仏壇の引き出しが外れて中から木箱が落ちました。漆塗りの文箱のような物でしたが、そこには戒名が書かれた札と巻物がありました。
「これはなんだろう、かなり昔の記録の書かな?」
「古いものね、大丈夫?破れそうね」
「もう少し片付けてから、後のお楽しみということにしよう」
「じゃあ、わたしはお茶のしたくをするわ」
その古い文書が何なのか、というよりも近所への挨拶や、役所への手続きに追われて、いつの間にか忘れていました。
しばらく数日間は、新しい土地での生活でもあり、ご近所の方や親戚に挨拶してまわりました。 親戚の人たちには、私しのぶが女装していることを隠すために神経を使い、夜は疲れてただ寝るだけの状態でした。
浩一郎は、布団に入った後、何かを読んでいるようでした。
「ねえ、何を見ているの?」
「この前の、巻物と札」
「ふーん、その札を見せて」
「これかい、ほらね」
「法泉院釈志野居士、でも裏に、志乃姫と書いてあるわ」
「普通は居士という戒名は男性なのに、志乃姫なんて」
「おかしいわね」
「こっちは、義泉院釈弘貴居士、と書いてあるんだ」
「巻物は読めたの?」
「それが、長い話が記録のように書いてあるんだ」
「わたし、古文書とか興味があるの。書道の先生にいろいろ教えてもらったのよ」
「エッチもかい?」
「もう、いやね。そんなことあるわけないでしょ」
「じゃ、僕が先生になって、いろいろ教えてあげよう」
「夜は、エッチだけでも・・・、いいのよ」
「じゃあ、今夜は僕のために・・・、パジャマから着替えて、なあ、いいだろう?」
「いいわよ、あなたの好きな、黒い下着にするわ」
リモコンで部屋の明かりを消して、窓から差し込んでくる月の光の中で、二人の愛撫が始まりました。

浩一郎はしのぶを抱き寄せると、スリップのストラップを肩からはずし、赤ちゃんのように乳首を吸うのです。
「ああー」と、しのぶが声をあげるのを楽しむように、
しのぶの乳房を揉み、乳首を吸い、愛撫が繰り返された。
「ねえ、今夜は先におっぱいさせて」と言う、しのぶ。
「いいよ、前技はいらないのかい」
「なんか、きゅっとあなたのことを愛してみたくなったの」
『おっぱい』と二人が呼んでいるのは、しのぶの豊かなバストで、浩一郎の雄器官を挟むように刺激して、さらに硬くなった乳首で亀頭の先や根元を刺激することを指していた。
もちろん邪魔になるブラジャーを、今夜はつけていない、胸の谷間をつかい、浩一郎の怒張し始めたものを、しのぶはこすりあげるようにした。
「ああっ、いい、いいよ」
「感じてる?・・・もっと感じてね」
「ああー、しのぶ、いきそうだよ」
「まだ、だめよ、ちょっと、まってね」
そういい終わると、しのぶは浩一郎の上にまたがり、小さく勃起した彼女の性器の下部にある、女性器の部分に太い肉柱を体内に受け入れた。お互いに感じれるように、腰を使い、熱くなった二人は汗を流し、喜悦の声をあげていた。
夜も8時を過ぎると、人通りがなくなるので、都会での生活と違い夜は長いのです。まだ8時過ぎだというのに、庭先からは二人の熱いあえぎ声がかすかに聞こえるほど、静かな夜でした。
《阿伏兎観音から尾道へ》

土曜日の朝は、快晴の天気、車で近くにある、阿伏兎観音にお参りに行きました。海岸の高い崖の上にある、朱塗りのお堂が特徴的な光景でした。
階段を上がり、観音様の朱塗りのお堂にあがると、瀬戸内の景色がよく見えます。

その観音さまは、安産祈願の女性の参拝者も多いのです。
二つの乳房の形をした願かけの品が、いたるところに掛けられているのです。
無理だとわかっていても、赤ちゃんが欲しいと、しのぶは、願をかけるの”でした。
そのあとで、しのぶの手作りのお弁当やお花をもって、尾道にある浩一郎の本家の墓地に行くことにしました。
そこは、JR尾道駅から1キロほど、西の山側にある寺でした、初心者の車なら、とても入れないような道を、上がりきったところにお寺がありました。

「ここは、大林監督の映画さびしんぼうに使われた寺なんだ」
「すごく見晴らしがいいのね。遠くの島もいっぱい見えるわ」
「ここは眺めがとてもいいので、僕も好きな場所なんだ」
しばらく見とれていたわたしは、なぜだか懐かしい気持ちになった。尾道がそんな気持ちにさせる町だからなのか、遠い昔に見た景色のような、不思議な気持ちでした。
本堂の横を通り、緩やかな坂道を上がると墓地があり、墓石が斜面にたくさん並んでいました。

「こっちだよ、ここに本家の墓が並んでる」
「いくつも、お墓が並んでいるのね、かなり古いお墓もあるわ」
「古いのは、江戸時代のものだからね」
「あれっ、ここの墓石の裏には、志乃姫って書いてあるわ」
「うん、そこも本家の墓石なんだ、お墓を作った人の名前かもしれない」
「あの古いお札の人ね、でも戒名は居士って彫られているわ。男の人のお墓ね」
「うん、そうだね。これまで何度かここに来たけど、後ろには気が付かなかった」
「あの巻物はもう読んだの」
「うん、大体はね」
「どんな話か聞かせてくれる?」
そういい終わるか終わらないうちに、しのぶは足もとの段差につまずき転倒してしまった。倒れたときに頭を強く打ち、目の前が真っ暗になり、しのぶは意識を失ってしまった。
小さな渦を巻くような風が、しのぶの身体を吹き抜けていった。その時、タイムスリップが起こり、しのぶは時間の渦の中を漂っていた。倒れている自分の身体から抜け出し、異次元に吸い込まれるような感覚を感じていた。
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