ある女装者の告白 《義兄との秘め事》

 家族には内緒で、中学生ごろから女装していました。

 季節の変わり目に、車庫の片隅にゴミとして置かれていたのは、姉の下着やワンピース、スカート、ブラウスなど処分されるものを自分の部屋に持ち込んでいたのです。

 バスケットボールをしていた姉が、女性としては少し身長がありました。わたしと体格が変わらないので、ブラジャーやショーツも、すべて私にはジャストサイズだったのです。

 家族が出かける時も、「受験勉強するから」と自室にこもり、父の読み捨てた実話雑誌を読み、レースのショーツや母のウイッグまで身につけて、オナニーに耽(ふけ)ったものです。
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 姉は10歳も年上だったので、中学生のころの私にとっては、大人のような存在でした。姉が処分したナイロンのパンティー、ストッキングやスリップ、OLをしていた姉の服は、女性を感じさせるものばかりでした。

 大学に入学した頃、実家の建て替えのため、わたしは大学の近くに学生用のマンションを借りてもらったのです。家が完成してからも、実験やゼミがあるからと実家には帰りませんでした。

 2DKの部屋は、一人暮らしには十分な広さがありました。 親からもらったお金でベッド、テーブルセットなどリサイクルショップで購入して、節約したお金でドレッサー(鏡台)、ランジェリーを入れる整理ダンスも買いました。

 ネットでいつでも、女装情報、女装動画を見ることが出来て、通販でいろんなものを買えるようになりました。 アルバイトを始めると、化粧品、ウイッグを買う余裕もできて、箪笥には下着やランジェリーがいっぱいになりました。

 そして、当然のように夜には女装外出をして自信がつくと、さらに昼の明るい時間帯から女装ですごすようになったのです。 初めは、姉や叔母などの下着への関心からから始まった女装も、社会人となっても続いていました。

 しかし、結婚話を持ってきた母親が、管理人から「女性が出入りしている」と聞き、それがわたしの女装とも気付かず、実家に戻ることになったのです。

「結婚もしていないのに、女を連れ込むなんて」と父が怒りました。
「こんな派手な、水商売の女が穿くようなもの」、厳しい母の声。

 そう言う母が手にしていたのは、薄いピンクのベビードール、Tバックのスキャンティ、それは僕のお気に入りのものでした。

「将来のお前のためだ、その女の子と別れなさい」
「同棲なんて、許しません」

 強硬に荷物も運びだされて、女装した息子が使っていた品だとも思わずに女性用の品はすべて廃棄されてしまったのです。

いつしか、姉の嫁ぎ先の親戚で、姉の学校の後輩でもある女性と見合い、結婚となりました。 妻は姉とも仲が良かったので、結婚後も姉の家で一緒にご飯を食べたり、親族としての交際を続けていました。

 そんな姉が、53歳で亡くなりました。姉の子供たちも、それぞれ結婚しており、今は義理の兄一人なのです。姉より3歳下の義兄は、まだ50歳前でした。

《透けるような薄物を着て》

 7月の末、祇園祭も終わり、町内会の役員をしていた義兄から「碁をうちに来ないか」と誘われて夜は泊まることになりました。私は姉の箪笥が置かれている和室に寝ました。

 和箪笥には着物が、隣の箪笥をあけると生前のまま、下着やブラウス、スカート、カットソーなどもあり、一番下には透けるようなネグリジェ、乳がんの放射線治療で抜け落ちた髪を隠すためのウイッグもあったのです。

 私は、まだ42歳、妻に内緒で女装していました。 「ああ、女装したい」 その夜は身体が求めるというか、そう思ってしまったのです。

 シャワーをして、浴室から出ると身体を拭きました。洗面所の鏡の前に立ち、ドライヤーで髪を乾かして液状のファンデーション、粉おしろい、アイシャドウでメイクをして、口紅を塗りました。ウイッグを頭にセットしてブラッシングをしたら、そこには若い頃の姉そっくりな私がいました。
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 そのあと、身につけたのは、新婚のころに姉が着ていたベビードール、真っ白で透けるような素材です。 電気を消して、朝までそのまま眠っていようかと思っていたのです。

 兄が寝ている廊下向かいの部屋から、テレビの大きな音と灯りがもれていて中の様子が見えました。 私は真っ白なベビードールのまま、そっと廊下に出て義兄の部屋の前に立ちました。

 義兄が部屋から出てきたらどうしようか、そんな気持ちよりも兄の部屋の様子が気になりました。

 午後11時ごろでした、もう私が眠っていると義兄は思ったのでしょう。 義兄の呼吸が、荒くなっています。 布団をはねあげて、硬直したものにスキンをかぶせて、せわしなく手を動かしていました。

 その時の私は、性生活で不自由をしている義兄に同情してしまったというか、姉の代わりに義兄に抱かれてあげよう、そんな気持ちになってしまったのです。

 廊下を進み、向かいのふすまを開けて、義兄の布団に近づきました。 驚いたのか、義兄の手は止まっていました。でも、下半身は黒光りするものが、そそり立っていたのです。

「義兄さん、抱いて、お願い、今夜だけ姉さんと思って」

 薄く透けるような下着姿のまま、義兄の前に膝をつきました。

「えっ・・・」
「義兄さん、わたしよ」
「そんな、・・・・・」

 少しの沈黙の後、わたしは義兄の布団に入りました。 はねのけられるかと思ったら、強く抱きしめられました。ベビードール( ネグリジェ)の私は、ひとりの女として義兄に身を任せたのです。


《官能の赴くままに》

 義兄の熱く堅くなっているものを、口の中に頬張りました。 スポーツが得意な義兄にテニスを教えてもらった時も、たくましい義兄の身体に憧れていました。

 その義兄の身体は、私のそばにあって、今はわたしのもの。そんな気分が高まっていました。

 この人に抱かれたい、この人の女になりたい、 今までの女装は、今夜のために身につけてきたとさえ思えたのです。

「こんなことしてちゃ、ああっ、ああー」
「こんなこと、素敵でしょ、義兄さん」
「ダメだよーっ、いきそうだ」


 義兄は久しぶりの快感に支配されているようです。口をすぼめて浅く深く舌を絡ませていると、 義兄の手が私の頭に添えられて、もっと刺激を促され、喉元まで義兄のものがあたるのです。
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「ああ~、逝ってもいいかい」
「ええ、いいわ」
「イクッツ、逝くよ」

 熱くて太いもの、義兄の一番感じる部分を咥えながら、最後には、義兄のものからほとばしり出るものを感じ、口のなかで受け留めていました。

 ツーンと匂う義兄のものを手のひらに出してみると、思ったよりもたくさんの量でした。

「よかったよ、でも・・、ごめんね」
「気にしないで、感じてもらってうれしい」

「今度は、僕が君にしてあげる番だよ」
そう言うと、私は、胸から下腹部まで、義兄の口と手で愛撫され続けたのです。官能の悦びに、何度も喜悦の声を上げる私、その声に反応して義兄のものが回復して、十分固くなっていたのです。

「ねぇ、もうできるんじゃない、入ってきて」
「君は、逝かなくていいのかい」
「いいの、それより、オネガイ、入ってきて」

 そのあと、姉とのセックスでも使っていたのか、ローションを私にも塗り、そうなることが自然なことのように、義兄は太ももの間に入って、私の両足を持ち上げ、硬直したものを押し当て、貫いたのです。
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 自分でもバイブを使っていたのですが、熱く、堅いものが入ると初めは痛みました。でも 、そのことよりも、生身の義兄のものを受け入れることに、私は喜びを感じていました。

「ユミ、裕美、いきそうだ」
「義兄さん、いいのよ、イッて」

 姉の名を呼ぶ義兄の息が、荒く腰の動きも激しくなり、体内に精液が注がれました。 エアコンの風が涼しいはずの部屋の中で、義兄の汗のしずくが、わたしの身体にしたたり、女としての満足感を感じていました。

 愛の営みが終わったあとで、わたしはさっとショーツを穿き、お湯で絞ったタオルで義兄のものをぬぐいました。 その時、わたしのつぼみから出る、義兄の白濁でショーツを濡らしてしまいました。

 ベビードールをひろい上げ、身にまとい、義兄の手を握ろうとしました。

「義兄さん、素敵だったわ」
「ああ、・・・」
「昔から、お義兄さんにあこがれていたのよ」
「君に悪いことをしてしまった」
「そんなことはないわ、私は義兄さんが好きだから」

 でも義兄は、私と反対のほうを向いてしまったのでした。

「もう、こんなことは、今夜限りにしよう」
「義兄さん、わたしが嫌い?・・・よくなかったの?」
「こんなことは、世間から許されないことだよ」

 義兄の部屋から出ました。 シャワーを浴びて化粧をすべて洗い流すと、精液で汚したベビードール(ネグリジェ)や下着を洗濯して、表に干すわけにもいかないので浴室を乾燥機モードに設定しておきました。

 いつものように男の服に着替えて、早朝、まだ義兄が起きる前に家を出ました。 二度と義兄の家にも来ることができないかと思うと、切ない思いでした。

 姉が愛した男性を、私が好きになってしまう。 とにかく女装して女になりきって、ひとりで自分を慰めていたとき、義兄とは、いつかこんな日が来るかもしれないと思っていた。


《もう、後戻りはできない》

 しばらく、義兄からは何の連絡もなかった。 会社帰りの電車の中で、スマホが鳴った。

「頼みたいことがあるんだ。今夜にでも会いたい、来てくれないか」
「・・・・・・」
「この前のような、時間をくれないかな」
「・・・」

 電車の中なので、わたしは黙っていた。

「君があまりに素敵だった、やっぱり君に会いたい」

 兄の求めに応じるか、それとも・・・断るか。 その時のわたしには、少しも迷いはなかった。 ドアが開いた時、ホームを走り逆方向の電車に飛び乗った。

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 駅に着いた時、私は駅前のランジェリーショップに向かった。

 ランジェリーショップに入った私は、今夜、自分の身につけるランジェリーを選び始めた。 サイズを確かめると、女性の店員のいるレジに向かった。

「サイズは、こちらでよろしいですか?」
「大丈夫です・・・」
「プレゼント用にお包みしましょうか?」
「普通に、手提げの袋で構わない」

 男の姿で女性の下着を買うことに、恥ずかしいという気持ちはなく、支払いを済ませた。 店員から受け取るとタクシーに乗った。少しでも早く、義兄の家に着きたかった。

 今夜は、姉の代わりではなく、女になった私を見て欲しい。 行き先を告げると、10分ほどで着いた。 タクシーを降りて、家のドアを開け義兄に声をかけた。

「すぐに支度をします」と言って、浴室に向かった。

 シャワーで軽く汗を流し、ボディーソープで男の匂いを消してから浴室を出た。 身体を拭き、バスタオルを体に巻き付け、ドライヤーで髪を乾かした。

化粧水を肌になじませて、ファンデーションを薄く塗り、アイメイクを済ませた。 ランジェリーを身につけ、うなじに香水をつけ、最後に口紅を塗った。

 とにかく女装して、女になりきって義兄の待つ部屋に向かった。
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義兄の待つ寝室の戸を開けて、義兄の腕に抱かれた。

「遅かったわね、電話、待ってたのよ」
「すまない、今日まで待たせてしまったね」

 透けるような黒いレースのブラジャー、お揃いのTバックショーツ、ガーターベルトにストッキング、 そこには、一人の女になった私が居た。

 世間を気にしながらも、女になった私を求めずにいられない義兄。
そして、私にとって義兄宅は、誰にも気づかれずに女装して過ごせる空間。電話があっても、義兄と一緒にいる事で、浮気を疑われることもない。

 義兄と過ごす私は、いつしか裕美と呼ばれることになり、姉の裕美になりきって家事も料理も、主婦のすることを楽しんでいた。そのことは、義兄も喜んでくれた。

 ・・・あの日から、もう二年が過ぎ、元気に勤めに行く義兄を見送る私。なぜって、今の私は、離婚して義兄と暮しているのです。

 義兄は、飲食店の「消毒・害虫の駆除」を請け負う仕事で独立し、私は経理、事務を手伝っているのです。自宅兼事務所では「ひろみ」、少しだけ胸も手術して、髪も伸ばしているのです。

 害虫駆除の仕事は、一般家庭では昼間が多く、飲食店内での消毒作業は、深夜の時間が多いのです。6月から10月は忙しく、それ以外の時期は、定期的な仕事が中心です。

 意外なことにことに、土日は飲食店の仕事は少なく、せいぜいオフィスの仕事が入るぐらいで、休日は世間並みに、夫(義兄)と二人きりで居られるのです。
 何よりも、悩ましく装い女になりきって過ごす夜の時間、それが一番ふたりにとって幸せな時なのです。
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 女として愛されたい、わたしは自分の気持ちに素直に生きたい。
誰にも明かせない、二人の新居での秘密の関係が、今は幸せです。

    《裕美》




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